画面●システム再稼働を告知する富士火災海上保険のWebサイト
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 米AIG傘下の富士火災海上保険は2015年5月18日朝、システム障害の抜本的解決のために15日から全面停止していた基幹情報システムを再稼働させたと発表した(画面)。19日夕方の時点では正常に稼働しており、保険契約者への直接の影響はない。ただし、保険代理店向けのアクセス制限は続いており、制限解除のメドは立っていないとしている。

 同社経営企画部の説明によれば、システム障害の発端は5月11日に実施したプログラム変更だったという。このプログラムに不具合があったため、営業時間外に予定していた夜間バッチ処理が中断してしまい、処理を積み残した。

 翌日以降、積み残したバッチ処理を実行し並行してプログラムの修正を試みたものの失敗。処理が重なってシステムの処理能力に余裕がなくなり、14日まで保険申込書の新規登録や事故の受付といったオンライン処理が断続的に停止する事態になった。

 15日に抜本的な問題解決のため、システムを全面停止し、プログラム修正に専念した(関連記事:富士火災が基幹システムを全面停止、週末に障害解消目指す)。週末のうちに修正を完了させ、18日朝の再稼働にこぎ着けた。

 ただ、システム障害・停止が起きていた間に代理店が受領した申込書が、システムに登録されないまま滞留している。実数は把握できていないが、例年の実績から推定すると3~4万件あるという。全国の代理店が一斉に登録するとシステムの処理能力を超えることから、現在アクセス制限をかけている。

 「18日から、システムの負荷と申込書の登録状況を監視する体制を敷いている。登録の進み具合を見ながら慎重にアクセス制限解除の時期を探っている。まだ1日しか経過しておらず、先を見通せない」(経営企画部)という。システムに登録されていなくても契約自体は有効で、保険金の支払いなどに支障はない。保険証券の印刷・発送などシステムが前提となる業務は遅延する見通しだ。

富士火災海上保険の発表資料