イタリアの「Gucci」や「Bottega Veneta」、フランスの「Yves Saint Laurent」や「Balenciaga」といった高級ブランドを傘下に持つフランスKeringは、中国Alibaba Group(阿里巴巴)が同社ECサイト上での偽造品販売を容認したとして米国で訴訟を起こした。複数の米メディア(New York TimesPCWorldWall Street Journalなど)によると、訴訟は米ニューヨーク市マンハッタンの連邦地方裁判所に現地時間2015年5月15日に提起された。

 Keringは訴状で、Alibabaは「マーケティングやロジスティクス関連のサービスを提供する“エコシステム”と称するものを通じて、偽造品の販売を意図的に奨励し、支援している」と非難。Alibabaの検索アルゴリズムは、たとえ偽造品を扱ってことが明確であっても、消費者を偽造品販売業者のサイトに誘導していると指摘し、「Alibabaは偽造品販売を禁じる代わりに、これら偽造品販売サイトから収益を得ることを考えている」と述べた。

 Keringの主張によると、Alibabaは検索キーワードを偽造品販売サイトに売り、Kering傘下のブランド名を付けている偽造品を購入する消費者を販売業者がより多く集められるようにしているほか、 Alibabaの検索エンジンでGucciと入力したときでも「cucchi」「guchi」といった言葉を候補表示している。

 Keringは昨年7月にもAlibabaを相手取って同様の訴訟を起こしたが、Alibabaが偽造品撲滅に取り組むことで合意したため、すぐに訴えを取り下げた。

 AlibabaはKeringが再度訴訟を起こしたことを受け、「我々にはブランドの知的財産を保護する強力な実績があった。しかし残念ながら、Keringは建設的な協力より、無駄な訴訟の道を選んだ」と述べた。

 Kering はAlibabaに損害賠償の支払いと、偽造品販売を中止するよう求めている。

 Alibabaのサイトにおける偽造品販売の問題に関しては、米国アパレル・フットウエア協会(AAFA)もAlibabaを提訴し、「世界規模で偽造品を販売する最大級のプラットフォーム」と批判している(英Financial Timesの報道)。