取り組むシステムのイメージ 東芝の図。
取り組むシステムのイメージ 東芝の図。
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 東芝と日本アイ・ビー・エムは、ドライブレコーダーやGPS等の従来情報に生体情報も加味する自動車運行管理の実現で協力していく(ニュースリリース)。東芝は、2015年中に欧州等での実証実験を開始する予定である。将来は、運送会社・タクシー会社・保険会社など幅広い企業へのサービス提供を目指す。

 発表によれば、自動車運行監視・管理サービスの需要は日本だけでなく、車両のCO2排出の規制が厳しいEU諸国などにおいても高まってきている。現在、一般に検討されている運行管理システムは車両に特化していることが多く、より質を高めるには、ドライバーの健康状態や運転時の生体情報、ドライブレコーダーや天候、交通状況など多様な観点からのデータを活用することが求められているという。

 今般、東芝が企画・提案した欧州等を対象とした「自動車運行監視・管理等による省エネシステムに関する調査」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成27年度「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」の実証要件適合性等調査として受託された。この調査は、実証前の予備調査という位置付けだという。

 両社が協力して実現を目指すシステムでは、リストバンド型活動量計で収集したドライバーの睡眠状況や生体情報とドライブレコーダーで計測した道路交通情報を、タイムリーにクラウド上のプラットフォームを利用してビッグデータ解析を行う。これで、最適運転経路への誘導や、事故率の高い経路を回避して、低燃費で安全なフリートマネジメントシステムを実現する。

 具体的な想定事例としては、ストレスが過度にかかる道路の通行を避ける運行ルートの作成や、生体センサーの情報を元にしたドライバーへの休憩の指示・睡眠データによるシフトの組み替えなどがある。従来にない生体データを加味したシステムの展開を目指すとする。

 日本IBMは、米IBM社が全世界で展開している「Smarter Planet」に関するプロジェクトで蓄積された技術や知見を活用して上記調査に協力すると共に、2015年中に開始することを目指している実証実験で必要となるIT環境、具体的にはIBMのクラウド、ビッグデータ解析技術・プラットフォームを提供していく計画である。