米AppleがGPS技術を手がける米国の新興企業、Coherent Navigationを買収したと複数の米メディア(MacRumorsNew York TimesWall Street JournalPCMagなど)が現地時間2015年5月17日までに伝えた。

 この話題を最初に報じたMacRumorsによると、Coherent Navigationの最高経営責任者(CEO)、Paul Lego氏は2015年1月からAppleで働いており、現在はAppleの地図部門に籍を置いている。そのほかの共同創業者であるWilliam Bencze氏とBrett Ledvina氏は同年4月にAppleに移籍し、Lego氏と同様、位置情報関連エンジニアリングの仕事に就いているという。

 Coherent Navigationの創業は2008年で、本社は米サンフランシスコのベイエリア。スタンフォード大学とコーネル大学出身のエンジニアが設立した企業で、商用ナビゲーションサービスの研究開発を進めていた。このサービスは、中軌道を回るGPS衛星と低軌道を回る米Iridium Communicationsの通信衛星の信号を組み合わせ、わずか数センチメートル単位の精密な測位を可能にする「High Integrity GPS (iGPS)」をベースにしているという。

 同社のWebサイトはしばらくアクセスできない状態が続いていたが、4月30日時点でAppleのWebサイトに誘導されるようになったとMacRumorsは伝えている(注:5月18日時点ではアクセスできない)。

 AppleはCoherent Navigationの買収を認めたものの、詳細については明らかにしていない。だが、同社はこれまでに屋内位置情報システムの米WifiSLAM、経路探索サービスの米Hopstop.com、地域企業情報サービスのカナダLocationary、公共交通機関路線図アプリの米Embarkなどを買収したと伝えられており、地図サービス技術の向上を図っていると、MacRumorsは伝えている(関連記事:Apple、公共交通機関の路線図アプリ「Embark」を買収、米メディア報道)。

 先ごろAppleは、電気自動車(EV)の生産を目指していると伝えられた。PCMagはAppleが高精度GPS技術を用いる自律走行車を研究しているのではないかと伝えている(関連記事:Appleの電気自動車、2020年の生産開始目指す、海外メディア報道)。