図●証券取引等監視委員会の発表
図●証券取引等監視委員会の発表
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 証券取引等監視委員会は2015年5月15日、インターネット証券のカブドットコム証券に行政処分を下すよう金融庁に勧告した()。発表によると、カブドットコム証券はシステム障害件数を実際よりも少なく報告し、執行役などもそれを容認していた。同委員会は「(カブドットコム証券の)システム障害の管理は極めて不適切な状況にある」としている。

 証券取引等監視委員会によると、発生日時や事象の異なる複数のシステム障害を1件として取り扱い、障害件数を少なく見せていたという。障害発生時の社内報告も、顧客影響数の確認が不十分だったり、規定よりも大幅に遅れたりしていた。

 さらに、金融庁長官への報告義務を怠ったシステム障害が多数あること、ユーザーへの影響のある障害を引き起こしても顧客に通知していない事例があったことなどが明らかになったという。

 システム障害に関してだけでなく、システム開発の管理にも不備があった。カブドットコム証券が定める品質管理ガイドラインに基本的なテスト項目の漏れがあり、顧客に影響を与えるシステム障害につながっていた。開発の進捗管理なども規定どおりに実施しておらず、執行役が遅延などの状況を正確に把握できないようになっていたとする。

 証券取引等監視委員会は、内部監査の甘さも指摘している。カブドットコム証券の監査委員は、情報システムに関する十分な知識を持っておらず、品質管理などの検証を経ずに取締役会に対して、「問題なし」との報告をしていたという。

 カブドットコム証券は「勧告を厳粛かつ真摯に受け止め、情報システムリスクを含む一層の内部管理態勢の強化に努める」としている。