欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)が支持した「忘れられる権利(RTBF:right to be forgotten)」を巡る米Googleの対応について、学者グループは現地時間2015年5月13日、より詳細な情報の開示を求める書簡をGoogleに送った。
ブログサービス「Medium.com」で公開された同書簡には、技術、法律、プライバシー、メディア分野の教授や研究者など80人が署名している。
Googleは、昨年5月にECJから受けた判決に従い、RTBFが適用されると判断した情報を欧州向け検索エンジンの検索結果から削除する作業を実施している。しかし、Googleの削除プロセスは不明瞭だとする批判があるほか、EUのプライバシー保護当局は、欧州向けにとどまらず米国向け「Google.com」も含めて全サイトを対象にRTBFの適用を迫る方針を打ち出している(関連記事:EU、米国版Google検索にも「忘れられる権利」の適用を迫る指針策定)。
一方Googleは同社に対する批判を和らげるために、社外専門家を含む諮問委員会を2014年7月に設置。同委員会は今年2月に、RTBF適用をEU圏内にとどめるのは適正だとする報告書を発表した(関連記事:「忘れられる権利」は欧州のみで適正、Google諮問委員会が報告書)。その際Googleは、半年ごとに更新する「Transparency Report(透明性レポート)」でRTBH要請に関するデータを公表するとした。
Googleがこれまで受け取った削除要請は25万件を超え、対象のURLは数百万件にのぼる。同社は、査定した削除要請のうち40%以上を承認し、リンクを削除しているという。
しかし学者グループは、GoogleがEUのRTBF判決に適切に従っているか評価するのに十分な情報を開示していないと批判。Google宛ての書簡で、どのような種類の情報(誹謗中傷、健康問題、電話番号や住所など)に対する削除要請を承認あるいは拒否しているのか、どのような割合で削除要請に応じているのかなど、公表すべきとする13項目を提示した。
同書簡には、Googleの諮問委員会に参加したベルギーのルーベン大学のPeggy Valcke法学教授も名を連ねている(米Wall Street Journalの報道)。