写真1●日立製作所 代表執行役 執行役副社長の中村豊明CFO(最高財務責任者)
写真1●日立製作所 代表執行役 執行役副社長の中村豊明CFO(最高財務責任者)
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 日立製作所は2015年5月14日、2015年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.1%増の9兆7619億円。営業利益は同11.6%増の6004億円で、2014年3月期に続き、過去最高益を更新した。中期経営計画の最終年度である2016年3月期は、上期に500億円を投じて事業構造改革を実施し、IoT(Internet of Things)分野のサービス事業などを伸ばして増収増益を目指す。

 「情報・通信システム」部門は、売上高が2014年3月期比5%増の2兆321億円となった。通信キャリアによるネットワーク事業向け投資が減少したが、公共や金融向けのシステムソリューション事業が好調だった。営業利益は同96億円増の1162億円。執行役副社長の中村豊明CFO(最高財務責任者)は「2016年3月期は、公共分野のマイナンバー対応や、金融分野のメガバンク向け大型案件が集中しており、売上増に期待する」(写真1)。

写真2●日立製作所 代表執行役の東原敏昭社長兼COO(最高執行責任者)
写真2●日立製作所 代表執行役の東原敏昭社長兼COO(最高執行責任者)
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 同日、2016年3月期が最終年度となる中期経営計画の進捗状況も発表した。会見に臨んだ代表執行役の東原敏昭社長兼COO(最高執行責任者)は「営業利益は年率で約10%ずつ伸長しており、“稼ぐ力”が定着している」と述べた(写真2)。

 東原社長兼COOが中期経営計画達成の課題として挙げたのは「ネットワーク機器などのITプラットフォーム事業の売上高減や、IoT分野でのサービス事業の出遅れ」だ。解決のために、事業構造改革の全社投資500億円のうち、情報・通信システム部門に「人的対策費として100億円弱」(中村CFO)を投じる。ITプラットフォーム事業を縮小し、成長分野と位置付けるIoT分野の専門部隊を組織して「人的リソースを移行する」(中村CFO)。

 2016年3月期はIFRS(国際財務報告基準)を任意適用する。連結業績予想は、売上高が9兆9500億円、営業利益は6800億円とした。海外売上高比率50%の達成も、中期経営計画で掲げている。2015年3月期は47%だった。「北米を中心に着実に伸びている。確実に達成したい」(東原社長兼COO)