日本ユニシスは2015年5月13日、情報通信研究機構(NICT)から受託したメッシュ型地域ネットワーク研究の一環で、長野県塩尻市、島根県松江市と実証実験を行うと発表した。2015年夏から塩尻市で、冬ごろから松江市で、それぞれ必要なインフラを整備する。

 NICTが開発したメッシュ型地域ネットワーク技術「NerveNet」を適用する。NerveNetは、2~3km離れた基地局同士を無線通信でつなぎ、網状のネットワークを構成するもの(ITpro関連記事:日本ユニシスなど4団体、災害に強いメッシュ型ネットの実用化研究を受託)。一部の基地局が使えなくなっても、他の基地局がカバーして接続を維持できるので、災害時でも電源が確保できればネットワークを維持できる。平時では地域限定のサービスに利用するほか、将来はNerveNetが持つ端末認証機能を生かし、地域住民を対象としたマイナンバー関連サービスに適用することも検討している。

 塩尻市は、NerveNetとデジタルサイネージ(電子看板)管理サーバーを組み合わせ、NerveNetの基地局から無線LANでデジタルサイネージに情報を送信、行政情報の提供や災害情報の伝達に役立てる。

 松江市では、NerveNetを市役所内イントラネットの拡張として使う。同市の職員は、Rubyを使って開発したグループウエア「縁sys(えにしす)」によって情報共有しているが、セキュリティの問題で外出先からのアクセスを制限していた。NerveNetの端末認証機能と組み合わせることで、職員が外出先からグループウエアにアクセスしたり、民間企業が特定の端末でグループウエアに参加したりできるようになるという。

 さらに塩尻市、松江市のNerveNetをIP-VPNで接続し、行政情報の相互バックアップや観光用プロモーション情報の交換などの実験を行うという。

日本ユニシスのプレスリリース