米Verizon Communicationsと米AOLは現地時間2015年5月12日、VerizonがAOLを買収することで合意したと発表した。買収総額は約44億ドルに上る見込みで、今夏に手続きを完了する予定。

 両社は同買収を「将来の成長促進に向けてデジタルおよびビデオプラットフォームを構築するための重要なステップ」と説明しており、LTEおよびOTT(over-the-top)ビデオ戦略の強化を図る。

 AOLの主な資産には、インターネット接続事業、「Huffington Post」「TechCrunch」「Engadget」「MAKERS」「AOL.com」といったメディアおよびポータル、オリジナルのOTTビデオコンテンツ、プログラム型広告プラットフォームなどがある。両社は声明で、「VerizonとAOLの統合により、約6000億ドル規模とされる広告産業をターゲットにした大規模なモバイルファーストのプラットフォームを構築できる」と述べている。

 買収は公開買い付けを通じて行われ、VerizonはAOL株1株につき50ドルを支払う。手続き完了後、AOLはVerizonの完全子会社となり、現AOL会長兼最高経営責任者(CEO)のTim Armstrong氏が引き続き指揮を執る。

 米国では従来の通信サービスの全体的な成長が減速する中、コンテンツや広告に注力する動きが広がりつつある。米AT&Tは衛星TVサービスの米DIRECTVを買収する計画を明らかにしている(関連記事)。またAOLを巡っては、物言う株主として知られる米Starboard Valueが米Yahoo!のMarissa Mayer CEOに、AOLとの戦略的提携を検討するよう迫っていた(関連記事)。

[発表資料(Verizonのプレスリリース)]
[発表資料(AOLのプレスリリース)]