米AMDは2015年5月6日(米国時間)、ニューヨークで投資家向け会議「2015 AMD Finacial Analyst Day」を開催し、今年後半以降の製品戦略などを発表した。性能を高めた新設計のx86 CPUや、ARMベースのプロセッサを投入し、データセンター市場などで巻き返しを図るとの方針を示した。

 発表会では、2014年末に社長兼CEO(最高経営責任者)に昇格したリサ・スー氏が全体のビジネス戦略を説明した。2012年の経営陣刷新時にAMDに参画したリサ・スー氏は、非PC分野の比率を引き上げて収益性を高めることを目指してきた。

 この取り組みにより、2012年に10%前後だった非PC分野の収益比率が、2014年には40%以上に向上。収益改善の大きな要因になっているという。その一方、いまだAMDの主な収益源となっているPC関連事業は、PC市場の縮小と投資の失敗により、2015年第1四半期の時点では減収減益となったとした。

 AMDは成長戦略として「成長市場へのリソースの集中」「収益性の悪い分野の整理」「技術開発の加速と投資強化」を打ち出している。スー氏は、現在AMDが強みを発揮している低価格PC分野は、収益性が悪いため今後注力しないこと、期待したほどの成長しなかった「SeaMicro」の高密度マイクロサーバー事業を清算したことなどを明らかにした。

 スー氏は、直近の収益改善策として、「Carrizo(カリッゾ)」の開発コード名で呼ばれる新しいPC向けプロセッサーを第2四半期中に投入すること、2015年後半に新型GPU(Graphics Processing Unit)のラインアップをそろえることなどを挙げた。AMDが「コンピューティングビジネス」と分類する事業分野では、新設計のアーキテクチャー「Zen(ゼン)」を採用したCPUを展開する。2016年に高性能サーバーやデスクトップPC向けに投入するという(図1)。

図1●AMDの次世代x86 CPUコア「Zen」は、高性能CPUをターゲットに開発が進められている(出典:米AMD)
図1●AMDの次世代x86 CPUコア「Zen」は、高性能CPUをターゲットに開発が進められている(出典:米AMD)
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