写真●NTTデータの岩本敏男代表取締役社長
写真●NTTデータの岩本敏男代表取締役社長
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 NTTデータは2015年5月8日、2015年3月期の連結決算を発表した。売上高は2014年3月期比12.5%増の1兆5118億円、営業利益は同34.2%増の840億円と増収増益となった。公共や金融向け案件の受注が減少したが、スペイン子会社を新規連結化した影響で増収となった。2013年度に発生した国内の不採算案件が減少して増益となった。

 増収に最も貢献したのは、海外事業の「グローバルビジネス(GB)」セグメント。売上高は2014年3月期比1499億円増の4645億円となった。「そのうち約1000億円が、スペインのIT大手エヴェリスグル―プを新規連結化した影響によるものだ」(NTTデータの岩本敏男代表取締役社長、写真)。

 増益の主な要因は、課題となっていた不採算案件の減少だ。2013年度に発生した、国内の大型システム開発6件の不採算案件のうち、2015年5月までに、5件が既にカットオーバーしているという。2014年3月期では合計で315億円の減益要因となっていたが、155億円まで減少した。岩本社長によれば「2013年度に発生した国内の不採算案件は2015年度内に全て収束し、追加の損失は発生しない」見通しだという。

 セグメント別に見ると、金融や公共向けの「パブリック&フィナンシャル(P&F)」は増収増益。売上高は2014年3月期比2.4%増の7391億円、営業利益は同6.6%増の641億円となった。

 製造業や流通業向けの「エンタープライズITサービス(E-IT)」は、売上高は同0.9%増の2818億円で増収。通信キャリアのIT投資が減少した影響を受けたが、電力やガスなどのユーティリティー分野向けの案件が伸長した。営業利益は同159億円増の122億円と黒字転換した。

 クラウドサービスなど手掛ける「ソリューション&テクノロジー(S&T)」は減収減益となった。売上高は同1.4%減の1765億円、営業利益は同16.6%減の70億円となった。

 2016年3月期の連結業績予想は、売上高が1兆5400億円(2015年3月期比1.9%増)、営業利益は過去最高の1000億円(同19.0%増)とする。2016年3月期に大きな増収要因となる買収案件はなく、全セグメントの増収により営業利益1000億円を達成する計画だ。特に高い利益を見込んでいるのがP&Fセグメント。「中央省庁を中心としたマイナンバー対応案件や、金融分野でのメガバンク向けの案件などで伸ばしたい」(岩本社長)。

 不採算案件の抑制にも注力する。「受注案件を審査するプロジェクト審査委員会の効果により、2015年3月期は不採算案件の発生を抑えることができた。引き続き審査を強化していく」(岩本社長)。不採算案件による損失額の売上高比率を0.3%程度まで抑え、営業利益改善を目指す。