TSUTAYA店内を模した販売ブースの前で、販売する端末を手にした石田宏樹社長
TSUTAYA店内を模した販売ブースの前で、販売する端末を手にした石田宏樹社長
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 ビデオレンタル大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とフリービットが共同出資するトーンモバイルは2015年4月30日、スマートフォンと回線、サービスを一体にしたMVNO(仮想移動通信事業者)サービス「TONE」の販売を開始した。まず30日に販売サイトを開設。5月5日には東京都渋谷区にあるCCCグループの旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」で発売するなど、7月末までに直営する地域の旗艦店16店に販売を広げる計画だ。

 登壇したトーンモバイルの石田宏樹社長は「複雑で不自由だった日本のスマホをシンプルに変える」と強調。前身であるfreebit mobileを引き継いで、端末と料金プランはともに1プランとユーザーに迷いを与えないサービス設計になっている点を訴えた(写真1)。

 具体的には、料金は3G回線のデータ通信が容量無制限で月額1000円(税抜き、以下同じ)とした。通信帯域をアプリによって数百k~1Mビット/秒程度に制限しており、1Gバイトあたり300円で動画を円滑に視聴できる帯域が利用できるチケットも提供する。通常の利用なら「平時の通信速度は私自身が使っても十分」としている。端末代金2万4000円の割賦(24回払い)を選択した場合でも支払額合計は月額2000円となり、freebit mobileと同等だ。

 端末も、今回の機種はfreebit mobileで用意した「PandA」とほぼ同じハードウエアを採用した。ただし、搭載するアプリなどのソフトウエアはTONEで新たに提供するサービスに合わせて、機能を拡張したり作りこんだりした。

 新たな機能やサービスの目玉が「(TポイントやTSUTAYAなど)Tの世界との連携」(石田社長)だ。まずTポイントでは、加盟店での買い物と同様に通信料金や端末代金の支払額に応じてTポイントが付与されるほか、今秋からはTポイントで通信料の支払いも可能にする計画だ。

 コンテンツや文書を管理、共有する端末搭載の専用アプリ「One」では、音楽配信や電子書籍などTSUTAYAのオンラインサービスを利用できるメニューを搭載した。TカードやTSUTAYAの利用履歴を基に、顧客の志向にあったおすすめのコンテンツやサービスを提案する機能も提供する計画だという。独自のアプリマーケットも提供し、安心して利用できるアプリをおすすめする。

 オンラインだけでなくレンタルサービスとの連携にも力を入れる。TONEの販売と合わせて、TSUTAYA店舗では今夏にも無線LAN接続の光ディスク装置「T-Air(仮)」を発売する。TSUTAYAで借りたCDの楽曲を簡単な操作でスマホに取り込めたり、映像ソフトを視聴できたりする機能を実装する予定。「若い利用者の間では、音楽配信よりもレンタルしたCDをリッピングしたいという需要が高い。T-Airならパソコンを使わず簡単にスマホに取り込める」(石田社長)と、レンタル利用者の活用を見込む。2015年10月末までの特典で、TONE契約者は月にCDとDVDを1枚ずつ無料で借りられるほか、TSUTAYAでのレンタル料には10倍のポイントを付与するキャンペーンも用意した。

 顧客層を広げるアプリやサービスも充実させた。高齢者向けに使いやすい簡単なメニュー画面を用意したほか、IP電話アプリ上で104とダイヤル操作すると近隣情報などを検索できる「104検索」を無料で提供した。また子供にスマホを与えたい保護者向けに、端末を持つ子供の所在地を地図アプリ上で確認できるサービスのほか、アプリごとに利用時間を制限、管理できるサービスなどを用意した。

 販売店は、7月末までに都内のほか盛岡市や福岡市、大阪市、名古屋市など地域の旗艦店16店に拡大する。その後にフランチャイズ店などにも販売店舗を拡大させる方針だ。TSUTAYAは全国で1450店舗を持ち、実稼働かつ重複なしのTカード利用者数は5304万人に達するという。石田社長は「販売網の拡大により、freebit mobile開始(2013年12月)から3年、つまり残り1年半で100万加入の達成が可能だ」と目標達成に自信を見せた。