写真1●富士通の田中達也 執行役員副社長
写真1●富士通の田中達也 執行役員副社長
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 富士通は2015年4月30日、2014年度(2015年3月期)の連結決算(年間)を発表した。売上高は2014年3月期と比べて0.2%減の4兆7532億円、営業利益は同21.3%増の1786億円で減収増益となった。金融や公共向けサービスが堅調だったが、通信キャリアによる携帯電話基地局への投資減少を受けて関連機器の出荷台数が減少したのに加えて、PC・携帯電話端末の出荷台数も減少した。6月に代表取締役社長に就任する、執行役員の田中達也副社長は「国内のIT投資は引き続き堅調と見ている」と述べた(写真1)。

 セグメント別に見ると、ITサービスやIT関連製品の「テクノロジーソリューション」セグメントは、売上高が前年度比1.8%増の3兆3028億円、営業利益は同4.6%減の2224億円で増収減益となった。同セグメントの内訳では、国内のシステムインテグレーションを中心に「サービス」が伸長。一方、メインフレーム系の大型商談が2013年度(2014年3月期)に集中していたことから、「システムプラットフォーム」は減収となった。

写真2●執行役員常務の塚野英博CFO(最高財務責任者)
写真2●執行役員常務の塚野英博CFO(最高財務責任者)
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 PCや携帯電話などの「ユビキタスソリューション」セグメントは、Windows XP更新需要の反動が響き、売上高は前年度比5.6%減の1兆628億円となった。一方、営業利益はコスト削減などの効果で、同356億円増の87億円と黒字転換した。執行役員常務の塚野英博CFO(最高財務責任者)は「PCは約2割減、スマートフォンは約1割減(台数ベース)なった」と、厳しい状況が続いたことを明らかにした。2016年3月期は、台数ベースで前年度並みの数字を維持する計画としている(写真2)。

 半導体や電子部品の「デバイスソリューション」セグメントは、売上高が2014年3月期比0.8%減の5956億円、営業利益は253億円増の369億円で減収増益となった。

 2015年度(2016年3月期)の連結業績予想は、売上高が4兆8500億円(2014年度比2.0%増)、営業利益は1500億円(同16.0%減)。田中副社長は、弱気ともいえる営業利益目標について「低い数字だと言われるだろうが、2015年度は当社が直面している経営課題を克服するため、ビジネスモデルの変革に投資せざるを得ない」と、低い数字の理由を説明した。

 具体的な施策の内容や投資対象については明かさなかったが、変革に300億円を投じる計画だという。「近日中に改めて、具体的な施策を説明する機会を設ける」(田中副社長)とした。

■変更履歴
公開当初、富士通の2014年度(2015年3月期)の連結売上高(年間)を4兆5732億円としていましたが、4兆7532億円の間違いでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2015/5/1 2:00]