写真1●2015年3月期決算を発表するNTTドコモの加藤薫社長。
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写真2●2015年3月期の営業利益の主な増減要因。
写真2●2015年3月期の営業利益の主な増減要因。
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写真3●ドコモ光の販売状況。
写真3●ドコモ光の販売状況。
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写真4●2016年3月期の営業利益の主な増減要因。
写真4●2016年3月期の営業利益の主な増減要因。
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 NTTドコモは2015年4月28日、2015年3月期連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は前期比1.7%減の4兆3833億円、営業利益は同22.0%減の6390億円と減収減益だった。説明会に登壇した加藤薫社長(写真1)は、「(中間決算で)下方修正した営業利益の目標は達成したものの、減収減益は残念であり、重く受け止めている」と総括した。

 減益の要因は、月々サポート(端末購入補助)の影響が1170億円、新料金プラン(カケホーダイ&パケあえる)の影響が1070億円、端末機器の粗利縮小の影響が600億円、携帯端末向けマルチメディア放送(mmbi)の減損損失が302億円など(写真2)。2015年1~3月期の営業利益は春商戦で費用がかさんだとはいえ、519億円と異例の低水準に終わった。

 2015年3月期の主な事業数値は以下の通り。純増数は前期比2.2倍増の349万件、MNP(モバイル番号ポータビリティー)の転出超過数は同70%減の38万件、解約率は同0.16ポイント減の0.71%だった。スマートフォン(スマホ)などスマートデバイスの販売台数は同6%増の1460万台で、このうちタブレット端末は同75%増の173万台である。ARPU(契約当たり月間平均収入)は、同240円減の4370円。内訳は音声が同230円減の1180円、パケットが同100円減の2600円、付加価値系サービスが同90円増の590円となっている。MOU(契約当たり月間平均通話時間)は、同3分増の112分だった。

 新料金プランの契約数は4月5日に1800万件を突破した。新料金プランの収支影響は改善しているが、2016年3月期も赤字の見通し。「2017年3月期までにはプラスに転じる月が出るように努力したい」(加藤社長)とする。

 2015年3月に始めた「ドコモ光」の申し込み件数は23万件(3月末時点)。堅調な立ち上がりだが、手続きの遅れで開通数は「半分弱」(同)にとどまった。ただ、ドコモ光の契約者の2割が上位プランに移行し、3割が「光スマホ割」による新規獲得、6割がシェアパックを契約など相乗効果が出ているという(写真3)。2016年3月期の契約数は累計180万件、売上高は600億円を見込む。

 2016年3月期の業績予想は、売上高が前期比2.9%増の4兆5100億円、営業利益が同6.4%増の6800億円とした。2016年3月期は月々サポートや端末機器の粗利縮小、トラフィック増加などで約2900億円の減益要因を見込むが、2100億円のコスト削減をはじめ、通信事業や新領域事業の拡大により、最終的には増益を見込む(写真4)。もっとも、2015年3月期はmmbiの減損処理がなければ、営業利益が6700億円程度に着地していた。2100億円に及ぶコスト削減にもかかわらず、100億円程度の増益という見方も可能であり、かなり厳しい状況にあることは間違いない。