写真●NECの遠藤信博代表取締役執行役員社長
写真●NECの遠藤信博代表取締役執行役員社長
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 NECは2015年4月28日、15年3月期の連結決算を発表した。売上高は2014年3月期比3.5%減の2兆9355億円となったが、営業利益は同20.6%増の1281億円で減収増益となった。売上高が3兆円を下回るのは27年ぶり。中期経営計画の最終年度である16年3月期は、通信事業者の旺盛なインフラ投資や税の共通番号(マイナンバー)制度関連の大型案件を追い風に増収増益を目指す。

 減収は、NECビッグローブを非連結化した影響が大きい。加えて、法人向けパソコン事業などが伸び悩んだことも響いた。一方営業利益は、全セグメントで増益を達成。中でも官公庁や公共向け事業が好調だった。

 以下、セグメント別の業績を見ていく。官公庁や公共向けの「パブリック」セグメントの売上高は14年3月期比の11.3%増の8219億円。航空・宇宙や消防・防災がけん引した。「マイナンバー関連で100億円規模の大型案件も獲得しており、引き続き受注を期待する」(遠藤信博代表取締役執行役員社長、写真)。営業利益は同162億円増の748億円。売上高増や不採算案件の削減が寄与したという。

 製造業や流通業向け「エンタープライズ」セグメントの売上高は同0.7%減の2705億円。流通・サービス業向けが堅調に推移したものの、製造業向けが減少した。営業利益は、同18億円増の83億円となった。

 通信事業者向けの「テレコムキャリア」セグメントの売上高は同2.0%増の7402億円。国内はほぼ横ばいだったが、海外向けの海底ケーブルやモバイル向け無線通信機器が増加した。営業利益は、同16億円増の620億円。

 各種ハードウエアを扱う「システムプラットフォーム」セグメントの売上高は、同6.6%減の7289億円。Windows XP更新需要の反動や、2015年7月15日にサポートが終了する予定の「Windows Server 2003」更新需要が伸び悩んだ。営業利益は、7億円増の314億円。

 「その他」セグメントの売上高は、携帯電話端末の出荷台数が減少し、同28.9%減の3741億円。営業利益は同54億円増の40億円と黒字転換した。

 同社は16年3月期の連結業績予想を売上高3兆1000億円、営業利益1350億円とする。遠藤社長は、出遅れている通信事業者向けSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)の導入などで目標を達成したいと語った。