NECは2015年4月23日、IaaSクラウド「NEC Cloud IaaS」向けに、主力ミドルウエア約30種類を従量課金で提供すると発表した。6月15日から販売する。時期や時間帯によって必要なCPUリソースが変動する場合、時間単位で細かく課金することによってミドルウエアの使用料を低減できる。NECでは、これらの施策を含むクラウド基盤事業において、2017年度に1200億円の売上を目指す。

 従来、NECのミドルウエアには、買い取り型と月額固定料金の二つのライセンスがあった。この下では、契約するCPUコア数を1カ月ごとに変えるといった運用はできない。今回用意した従量制のライセンスでは、1カ月単位または1時間単位で細かく課金できる。例えば、Webアプリケーションサーバーの「WebOTX」を1時間単位で利用する場合、1CPUコア1時間当たり43.6円(税別)になる。

 PaaSではないので、ミドルウエアの実行環境を動的に配備する使い方はできない。専用のWebサイトから個々のミドルウエアのインストーラーパッケージをダウンロードし、これをIaaS環境に手動でインストールして使う。IaaS環境にインストールすると、自動的に従量課金されるようになる。

 6月15日の販売開始時点で、以下の6ブランドを中心に、約30種のミドルウエアを用意する。

  1. 「WebOTX」(Webアプリケーションサーバー)
  2. 「InfoFrame」(データベースサーバー)
  3. 「InfoCage」(ファイアウォールなどのセキュリティ)
  4. 「NetBackup」(データバックアップ)
  5. 「SystemDirector」(開発環境)
  6. 「WebSAM」(運用管理)
  7. 「CLUSTERPRO」(高可用性クラスタリング)

クラウド操作をWeb API化、運用管理ソフトから制御可能に

 ミドルウエアの従量課金に先立ち、4月27日には運用管理用のWeb API(REST API)も公開する。Web APIを介して、(a)システム操作(テンプレートで定義したシステム構成の作成や削除など)、(b)仮想サーバー操作(個々の仮想サーバーの起動、停止など)、(c)監視操作(監視の開始、停止、スケジュール設定など)ができるようになる。

 Web APIの公開に合わせて、ジョブのスケジュール実行ソフト「WebSAM JobCenter」もバージョンアップし、NEC Cloud IaaSの上で行う定型業務を自動化できるようにした。クラウド操作を含んだジョブをGUIで定義すると、裏でWeb APIを使ってクラウドを操作する形になる。