東京消防庁は2015年4月21日、14日に約4時間にわたって続いた東京23区からの119番通報に関するシステム障害(関連記事:東京で119番通報が切れるシステム障害、折り返しのうち11件は応答なし)について、「受付指令制御装置」の設定ミスと不具合が原因だったと発表した。

 受付指令制御装置は、一般からの119番通報や出動現場からの電話連絡を受け付けて、「特別区災救センター」「特別区救急相談センター」へと自動接続する役割を担う。この制御装置の設定に不備があり、システム障害が発生した。

 東京消防庁の説明によれば、障害発生より前に、携帯電話からの119番通報が急増したことに対応し、制御装置の設定を変更した。具体的には、固定電話からの119番通報を受け付ける回線の一部を廃止し、携帯電話からの119番通報を受け付ける回線を増設する設定にしたという。

「回線試験」の制御メッセージが異常蓄積

 これらの回線では、一般からの通報に加えて、制御装置が正常に稼働しているかどうかを確認するための「回線試験」用の“通報”を受信している。本来なら、固定119番回線の廃止に伴い、回線試験の対象から除外する必要があった。しかし、除外設定をしていなかったために、廃止されたはずの固定119番回線への回線試験が続いた。制御メッセージが異常蓄積し、バッファーオーバーフローを引き起こしたという。

 このバッファーオーバーフローにより、固定・携帯両方の回線を収容する「119収容パッケージ」全体で回線接続が不可能となった。この障害を迅速に検知できず、約4時間にわたって119番通報受信の不具合が続いた。「119収容パッケージ」は冗長化されており、正常に受け付けた通報もあった。障害発生時間帯に受け付けた119番通報は全部で702件で、うち60件の通報を正常に受信できなかった。

 東京消防庁は当面の対策として、これまでに蓄積された制御メッセージをクリアする措置を4月17日に実行した。今後、制御装置を含むシステムを納入したITベンダーと連携し、システム機能の改修や、障害発生時の対処策の改善などを図るとしている。