ネットワールドは2015年4月16日、Windows Server 2003やInternet Explorer 8のサポート切れ対策の一環として、古いアプリケーションを形式変換することによって現行OS環境で問題なく動作できるようにする「アプリケーションパッケージングサービス」を開始した。最大の特徴は、移行実績がある特定のアプリケーション(記事執筆現在はMicrosoft Office)について、移行を保証するとともに30万円(税別)の定額で請け負う点である。

 アプリケーションの移行手段としては、米ヴイエムウエアのミドルウエア「ThinApp」を利用する。ThinAppは、本来はインストールが必要なアプリケーションを、インストールしなくても使えるポータブル形式へと変換するソフトである。レジストリー設定やDLLなどの、アプリケーションの動作に必要な周辺要素を一つにまとめてパッケージ化する。アプリケーションをUSBメモリーで持ち歩くといった使い方もできる。

 ポイントは、ThinAppをWindows OSの移行に応用できることである。アプリケーションをポータブル化しておけば、異なるバージョンのアプリケーション間でDLLの競合などの問題を避けられるので、これらを一つのOS上に同居させられる。これにより、古いバージョンのユーザーアプリケーションやMicrosoft Officeを現行OS上で動かしたり、古いWebブラウザー(Internet Explorer 6/7/8)でなければ動かないWebアプリケーションをInternet Explorer 11が入っている現行OSで動かしたりできる。

特定アプリは移行保証と定額化、現在はOfficeが対象

 ネットワールドは以前からThinAppを使ったアプリケーション移行サービスを提供してきたが、今回、移行実績のあるMicrosoft Officeについて、新たに定額メニューを用意した。Office 2000からOffice 2013までの各バージョンを対象に、いずれかのバージョンを30万円の定額でThinAppを使ってパッケージ化する。さらに関連サービスとして、Microsoft Office以外のアプリケーションも含めてアプリケーションの現状を調査して棚卸しをする「アセスメントサービス」(9万円から)も用意した。

 定額メニューの提供に合わせて、古いWebブラウザーに依存したWebアプリケーションを新OSに移行するために利用するIE互換ブラウザー「LIBRA」もバージョンアップした(関連記事:ネットワールドがIE6互換ブラウザー、IE8以降のエンジンを利用)。これまでのLIBRAは、IE6で開発したWebアプリケーションをIE8搭載OS(Windows 7/Windows Server 2008)上で動作させる目的で使われてきたが、バージョンアップによって、IE8で開発したWebアプリケーションをIE11搭載OS(Windows 8.1/Windows Server 2012 R2)上で動作させる目的に使えるようになった。

 同社が最初に用意したThinAppによる移行サービスは、難易度に応じて料金を設定しており、ケースによっては移行できないこともあった。これに対してユーザーから「移行できるかどうか分からないのにお金は払えない」という意見が寄せられた。こうした経緯があったため、IE互換ブラウザーのLIBRAを提供開始したタイミングで、ThinAppを使った新しい移行サービスとして、成功報酬型のサービスを個別見積もりで用意した。そして今回、個別見積もりをベースとしつつ、特定アプリケーション(Microsoft Office)について定額メニュー化した。