写真1●ドリーム・アーツが5月から提供を始める「知話輪」の活用イメージ。現場からのメッセージもタブレット端末の画面にビジュアルに表示し、企業内で共有できる
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写真1●ドリーム・アーツが5月から提供を始める「知話輪」の活用イメージ。現場からのメッセージもタブレット端末の画面にビジュアルに表示し、企業内で共有できる

 ドリーム・アーツは2015年4月15日、「知話輪(Chiwawa)」と呼ぶ企業向けの情報共有クラウドサービスを発表した(写真1)。特徴は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のようなユーザー・インタフェースを採用するなどして、現場担当者が、現場で得た気づきや感覚を書き込みやすくし、書き込まれた気づきなどもビジュアルに共有できるようにしたこと。

 スマートフォンやタブレット端末からも使えるこのサービスを、同社は5月1日から提供し始める。大企業の経営者は、現場からの生の情報がなかなか得られず、実態をつかみあぐねているもの。ドリーム・アーツはそこに着目。現場担当者が日々の業務の中でふと気づいたことを上げやすくして、現場の意識を社内で共有できる新サービスの提供に踏み切った。

 ドリーム・アーツの山本孝昭社長は、「企業がこのサービスを通して得られた現場担当者の気づきや感覚を生かすことで、社内から多くの共感を得て新しい事業にふくらませたり、リスクが大きくなる前に解決に動けたりすることに役立てられる」と話す。

 これまでも、企業向けにSNSサービスが多く提供されているが、知話輪では大企業が全社的に利用しやすくするため、セキュリティを高めて提供する。

 具体的には、Amazon Web Services上に、利用企業専用のクラウド環境を用意。気づきなどの書き込みや閲覧の際の通信では、SSLで暗号化するようにした。そのうえで、顧客利用の人事システムなどと連携してアクセス制御を実施。情報漏洩対策で監査証跡ログも取れるようにする。クラウド上で稼働するシステムの運用監視は、ドリーム・アーツの施設から24時間、遠隔で行う。

 新サービスでは、担当者が現場で気づきや感覚を書き込みやすくしたり、それに反応したりしやすくするため、一般のSNSで採用されているユーザー・インタフェースを採用した。

写真2●スマートフォンからの知話輪の利用イメージ。キュレ―ションサイトのようなレイアウトにもできる(左)。入力画面もSNSライクだ(右)
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写真2●スマートフォンからの知話輪の利用イメージ。キュレ―ションサイトのようなレイアウトにもできる(左)。入力画面もSNSライクだ(右)

 例えば、現場担当者がプライベートで使っているSNSと同じように、スマートフォンを使って撮影した画像や動画を張り付けて公開可能。スタンプで感情の細かいニュアンスを表現したり、「いいね!」「ちょっとね?」ボタンを加えて反応しやすくしたりできる(写真2)。

 また知話輪では書き込みテーマを複数、設定可能。アクセス制御機能と組み合わせることで、社内全体で共有したり、関係者を絞ったりすることができる。

 さらに、現場から集まったメッセージの可視化機能も提供。例えば、どのメッセージの反響や共感を多く得たメッセージをビジュアルに表示させることで、「どの気づきや感覚を重視して次のアクションに移すべきか」を判断しやすくできる(写真3)。マップと関連づけて表示させることもでき、「どの場所で営業担当者がどんなメッセージを書き込んでいるのか」をつかみやすくすることも可能になっている。

写真3●集まった気づきなどを可視化する機能の例。散布図のほか地図と組み合わせた表示もできる
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写真3●集まった気づきなどを可視化する機能の例。散布図のほか地図と組み合わせた表示もできる

 企業での活用例としては、現場での気づきの共有のほか、「製品開発担当者の思いを、販売に携わる営業担当者に伝える」「既存の営業支援システムと連携して入力しやすくする」「営業の現場での対応状況を顧客ごとに管理しておき、複数の営業担当者で共有して、誰でもそれまでの状況を踏まえた対応ができるようにする」といったものが考えられるという。

 ただし、このようなツールを単に導入しても、活用されなければ意味がない。現場から気づきを上げたとしても、反応がなかったり、ダメ出しだけが集まったりするような雰囲気では、ツールを入れても活用はままならない。

 そこでドリーム・アーツでは、本格導入前のパイロットプロジェクトの実施サービスから提供する。ドリーム・アーツのコンサルタントが加わって、現場から上がった気づきをアクションにつなげる対象業務の見極めや活用策の検討、利用者を絞った試行などを行い、本格導入に移る。

 料金は、約3カ月で最大100人を対象にしたパイロットプロジェクトの実施サービスが、クラウドの利用費込みで980万円。導入費用は、データベースを含む利用企業向けクラウド環境整備で2100万円。それにカスタマイズ費用などが別途かかる。導入後は、月額料金制を取る。基本料の100万円に1ユーザー当たり1000円の利用料が加わる。