米IBMは現地時間2015年4月13日、医療データの収集、分析、活用などに関し米Appleと提携したと発表した。両社はすでにiOS端末向け法人アプリの開発と端末販売で提携しているが、そのパートナーシップを医療分野に広げるとしている。

 Appleは先ごろ、医学・医療研究用iPhoneアプリを開発するためのオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を発表した。またiPhoneには、Apple Watchやフィットネス機器、健康管理のアプリからデータを集めて共有する仕組み「HealthKit」がある。両社の新たな提携では、これらの仕組みにIBMの医療用データ分析クラウドサービス「Watson Health Cloud」を活用し、データ収集から分析、医師や研究者への提供までを一貫して行えるようにする。両社は法人向けの職員健康管理ソリューションを開発する計画も立てている(関連記事:Apple、医学・医療研究用アプリの開発ツール「ResearchKit」を発表)。

 IBMはこれに併せ、同社の人工知能「Watson」を利用して分析したこうしたデータを医療・研究機関などに提供する新事業「Watson Health」を立ち上げることも明らかにした。同事業の本社は米マサチューセッツ州ボストンに置く。

 新事業は、医薬品・医療関連製品大手の米Johnson & Johnson(J&J)、医療機器大手の米Medtronicとも提携する。J&JはWatson Health CloudとWatsonを活用し、人工膝関節置換手術や脊髄手術患者の術前・術後ケアを支援するモバイルベースのコーチングシステムを開発する。Medtronicは糖尿病患者データの分析結果を活用するインスリンポンプなどを開発する。

 またIBMは、医療データのクラウドサービス企業、米Explorysを買収したこと、公衆衛生管理ソフトウエアを手がける米Phytelを買収する計画であることも明らかにした。ExplorysはすでにWatson Health事業の一部門となった。Phytelも買収手続き完了後Watson Healthの一部門になる。

[発表資料(IBM-Apple提携)]

[発表資料(Watson Health事業)]

[発表資料(Explorysの買収)]

[発表資料(Phytelの買収)]