写真●会見する吉野家の河村社長(右)と夢の街創造委員会の中村社長(左)
写真●会見する吉野家の河村社長(右)と夢の街創造委員会の中村社長(左)
[画像のクリックで拡大表示]

 吉野家は4月7日、スマートフォン(スマホ)を使って牛丼などを予約注文できるサービスを8日10時に始めると発表した。利用者はスマホのWebサイトで店舗を検索して商品を注文。最短15分後に店舗で受け取れる。「つゆだく」「ごはん少なめ」など好みに応じた注文も可能。出前ポータルサイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会のシステムを利用する。若年層を中心に広がるスマホで持ち帰り注文を可能にして、顧客サービスを充実させる。

 「当社のモットーであるうまい、やすい、はやいをもっと便利にする」。会見した吉野家の河村泰貴社長は、新サービスの意義をこう述べた(写真)。

 吉野家が新たに始めるのは「お持ち帰り予約システム」。利用者はスマホを使って専用サイトにアクセスし、店舗を検索したり商品を注文したりする。受け取り時間を15分刻みで指定可能で、注文を受けた店舗の従業員は利用者の来店時間に合わせて商品を作る。客は待たずに商品を購入でき、店舗も作業効率を高められるなど「双方に利点がある」(河村社長)。

 当初は東京都内の30店舗でサービスを開始。今夏には500店舗、2016年4月までに全店舗に広げる。

 「外食産業はいまや店を構えてお客様を待っているだけでは厳しい。むしろ我々からお客様に近づく必要がある」。河村社長は外食産業の問題意識をこう述べる。顧客との接点を作る手段として注目したのが、テレビに次いで利用時間が多くなったスマホなど携帯端末だった。

 新サービスでは夢の街創造委員会が開発した予約管理システムを活用。同社は会員数約670万人、1万2000店近くの加盟店を持つ出前注文サイト「出前館」を運営する。

 「出前の要望が多かったベスト3の一つが吉野家だった」。こう打ち明ける同社の中村利江社長は、2年前から吉野家に加盟を働きかけてきた。当初、吉野家は出前も検討したが、客単価が500円程度と低めなため採算が合わないと判断。持ち帰りという形態を選んだ。

 夢の街創造委員会は、吉野家への導入を皮切りに予約管理システムの拡販に乗り出す考えで、年内に10社の導入を目指す。