画面1●プリンターの操作マニュアルを3D化した例
画面1●プリンターの操作マニュアルを3D化した例
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画面2●アニメーションで操作手順を解説
画面2●アニメーションで操作手順を解説
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 キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2015年4月7日、3D(3次元)データを埋め込んだPDF文書の制作を請け負う「3D PDFドキュメント制作サービス」を開始したと発表した。完成した文書は閲覧ソフト「Adobe Reader」で表示でき、3Dの物体を動かすことも可能。デジタルならではの豊かな表現ができる点を前面に打ち出し、作業の手順書やカタログ、マニュアルなどを手がける企業ユーザーに売り込む。料金はA4判1ページ当たり8万円から。

 埋め込まれた3Dデータは、マウスで360度回転させるなどできる(画面1)。例えば商品カタログに活用すれば、消費者に任意の角度から見てもらえるようになる。アニメーションも付けられ、機器の操作方法を視覚的に解説するといった用途にも向く(画面2)。

 制作にあたって利用者は、CAD(コンピューターによる設計)のデータなどをキヤノンITSに渡す。内容について打ち合わせをすると、実際の制作が始まる。商品の3Dデータは設計/製造部門で作られることが多いが、サポート部門や商品企画部門がそれを活用できず、新たに画像を作り直すなどの手間がかかっていた。新サービスで、3Dの設計データの有効活用を企業内でしやすくする狙い。製造業だけでなく、気象分野や建築分野などにも需要が眠っていると同社はみている。

 PDFの標準仕様に基づいて制作するため、特別なソフトがなくても表示できる点も強み。簡単な内容ならデータ量は1MB程度で済むため、メールに添付して社外にも配布しやすい。

 キヤノンITSはCAD分野における3D関連技術で定評があり、そのノウハウを新サービスに生かす。今後付加メニューを拡充するなどし、3年後に年間3億円の売り上げを目指す。