トルコ政府が現地時間2015年4月6日、米Twitterのサービスと米Google傘下の「YouTube」へのアクセスを遮断したと、複数の海外メディア(米Wall Street Journal英Reuters米New York Timesなど)が報じた。トルコの裁判所は同日、これらサービスがコンテンツ削除要請に応じなかったとして、遮断命令を発行したという。なおTwitterは、数時間でアクセスが復旧している。

 トルコでは3月31日に、極左組織「革命的人民解放党・戦線(DHKP-C)」のメンバーがイスタンブールの裁判所で検察官1人を人質にとって立てこもる事件が発生。犯人は人質のMehmet Selim Kiraz検察官の頭に銃を突きつけ、「要求が通らなければ殺害する」と脅迫した。膠着状態の中、DHKP-Cは人質の写真をソーシャルメディアに投稿し、写真はオンラインで広まったほか、新聞にも印刷されて発行された。事件は結果的に、治安部隊が突入してテロリスト2人を射殺し、その際検察官も撃たれて死亡した。

 トルコ当局は、TwitterとYouTubeのほか、国内外の複数のサイトに対し、同事件に関する音声や動画、写真の削除を求め、応じなければ遮断すると警告した。米Facebookの広報担当者は要請に応じたことを認めている。

 トルコ国内のニュースサイト「Hurriyet」「NTV」や、英紙「Independent」、オーストラリアの「news.com.au」なども削除要請を受け取ったという。

 トルコ大統領報道官は、「こうした写真の掲載に責任をもって行動すべきメディアの一部は、テロのプロパガンダを拡散するような行動をとっている。あらゆる警告にも関わらずこれを続けることは受け入れ難い」と、遮断措置に至った理由を述べた。

 トルコ当局は、Twitterが関連コンテンツを含むツイートを削除したことを確認したとして、遮断を解除したことを明らかにした。GoogleはYouTubeのアクセス復旧に向けて取り組んでいるとしているが、4月6日夕方の時点でアクセスできない状態が続いている。

 当局がTwitterを遮断していた間も、トルコの多数のインターネットユーザーがVPNを使うなどして引き続きTwitterに投稿している。また、共和人民党のKemal Kilicdaroglu党首はTwitter公式アカウントから「分かりませんか?あなたが禁止すればするほど、人々はツイートする」と今回の措置を批判している。

 トルコでは昨年3月にも、Recep Tayyip Erdogan首相(現大統領)の汚職を巡るツイートが多数投稿されたことから、TwitterやYouTubeが遮断措置を受けている(関連記事:トルコ政府がTwitter遮断措置を解除、裁判所の違憲判断を受け)。