港区立学校の新情報システムは4月から順次稼働する(写真は4月開校の「白金の丘学園」)
港区立学校の新情報システムは4月から順次稼働する(写真は4月開校の「白金の丘学園」)
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 東京都港区は、区内の幼稚園・小中学校計40校の情報システムを刷新し2015年4月から順次稼働させる。サーバーを仮想化することで、サーバー台数と電気代をそれぞれ従来システムの約3分の1に削減。教育委員会と各校を結ぶネットワークもSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)を採り入れ、将来の学校統廃合などに柔軟に対処可能にしている。教員用のパソコンもデスクトップの仮想化を導入した。「デスクトップの仮想化はもとより、サーバーとネットワークの仮想化まで同時に踏み切る例は、教育分野では珍しい」(システム構築を担当したNEC)という。

 従来は各校にファイルサーバー、認証サーバー、Webフィルタリングサーバーを設置していたが、新システムではこれらを統合。サーバーは同社の「Express5800/ECO CENTER」、サーバーOSは米Microsoftの「Windows Server 2012 R2 Hyper-V」を採用している。各校に通う児童・生徒約1万人、教員約1000人のそれぞれに適用するフィルタリングのポリシーを教委側で集中制御可能にした。

 教委と各校を結ぶネットワークはNECの「UNIVERGE PFシリーズ」を使いSDN環境を構築。「将来学校の統廃合が起こった場合に、管理コンソールからの設定変更で各校・端末の収容先変更ができ、物理的な作業の手間を軽減できる」(NEC)メリットを考慮して導入した。

 教員の利便性も向上する。従来は専用の閉域網につながったパソコンで児童・生徒の個人情報を扱い、インターネットにつながった別のパソコンで教材研究をするなど使い分けが必要だった。刷新後は教員の持つパソコンからリモートデスクトップで個人情報用、教材研究用それぞれのバーチャル・マシン(VM)にログオンして作業する。各VM間の切り替えはいったんログオフ操作することを必須とし、VM間でのコピー&ペーストを禁止するなどして個人情報の流出を防ぐ。

 港区教委は14年度から4か年計画で各校の情報システムの見直しを進めている。14年度は基盤となるサーバーとネットワークを中心に刷新した。15年度以降はさらに校務支援システムや、教員のテレワークに必要なサービスなどの運用を順次始め、事務作業の負荷を減らし教育の質も高めたいとする。