写真1●トレンドマイクロのエバ・チェン代表取締役社長兼CEO
写真1●トレンドマイクロのエバ・チェン代表取締役社長兼CEO
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 トレンドマイクロは2015年3月25日、米マイクロソフトのクラウドサービス「Office 365」を利用している企業向けの新しい脅威検知サービス「Trend Micro Cloud App Security(仮称)」を発表した。2015年7~9月期の提供開始を予定している。急増するOffice 365利用企業向けに新方式のセキュリティサービスを提供することで、事業拡大を狙う。

 エバ・チェン代表取締役社長兼CEOは、「Office 365を導入している場合、利用者はメールやファイルをWindowsで開くこともあれば、iOSやAndroid上で扱うこともある。脅威をクラウド上で“共有”する事態を防ぐためには、クラウド側で検知した方がいい」と説明した(写真1)。

写真2●「Trend Micro Cloud App Security」のデモ。マルウエア付きのWordファイルをiPadで開いたところ、特に異常はない
写真2●「Trend Micro Cloud App Security」のデモ。マルウエア付きのWordファイルをiPadで開いたところ、特に異常はない
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写真3●Office 365と連動したトレンドマイクロのクラウド環境で、マルウエアを検知し、警告メールが届いた
写真3●Office 365と連動したトレンドマイクロのクラウド環境で、マルウエアを検知し、警告メールが届いた
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写真4●Cloud App Securityの管理画面
写真4●Cloud App Securityの管理画面
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 新サービスは、マイクロソフトが運営するOffice 365のクラウド環境と、トレンドマイクロが運営するCloud App Securityのクラウド環境をAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)で接続する仕組みである。Office 365環境の本体に負荷をかけない形で脅威を検知する。

 同日に開催された事業戦略説明会で、Cloud App Securityのデモを披露した。iPadにWindows PCで動作する標的型攻撃用マルウエア付きのWordファイルが届いたケースを想定。利用者がiPad上で開くときは通常の文書として閲覧でき、マルウエアとして動作することはない(写真2)。

 マルウエアだと気づかずにこのファイルをOffice 365のオンラインストレージ「OneDrive」にアップロードすると、Cloud App Securityがマルウエアを検知。「ファイルにマルウエアが含まれるので自動削除した」という通知が本人と管理者に届く(写真3)。管理画面では、Office 365内部での脅威の検知状況のグラフやログを表示する(写真4)。

 価格は未定だが、Office 365と同様に、ユーザー当たりの月額・年額などのサブスクリプション型課金を予定している。販売面でもマイクロソフトと連携し、Office 365の既存・新規顧客に併用を促す方針だ。