エフエム東京は2015年3月23日、ケーブルテレビを通じた「V-Lowマルチメディア放送」の再配信を実現するための各種検討を目的として「V-Lowマルチメディア放送ケーブルテレビ連携ワーキンググループ」を新たに設立し、広くワーキンググループ(WG)への参加企業を募集すると発表した。

 同WGは、全国約2883万世帯をカバーするケーブルテレビ網とV-Lowマルチメディア放送の相互活用による新しいサービスの実現を目的と設定する。アクションプランとして、三つを想定する。第1が「V-Lowマルチメディア放送のケーブルテレビ伝送実験を行う」ことである。これにより、再送信に向けた伝送基準の検証・確認を行う。

 第2が、「ケーブルテレビ向けの機器流通スキームを組み立てる」ことである。これにより、ケーブルテレビマーケットにおける早期普及を目指した環境整備の検討を行う。

 第3が、「ケーブルテレビ系コンテンツ・サービスモデルの創出に向け、ケーブルテレビ事業者と連携した地域コンテンツサービスを検討すること」である。

 これらの活動を通じ、V-Lowマルチメディア放送をケーブルテレビのデジアナ変換によるアナログ再送信が終了する周波数の有効利用に活用するなど、ケーブルテレビ事業者や関連企業との連携を進め、地域貢献型の新しいサービスの展開を目指す。

 ケーブルテレビとV-Lowマルチメディア放送のメディアミックスにより、地域密着、地域の安心安全サービスを共同で推進する。また、V-Lowマルチメディア放送をケーブルテレビに接続されているSTBで受信し、テレビに情報・コンテンツを送ることで、新しいテレビサービスの展開が可能となる。

 さらに、ケーブルテレビ事業者がMVNO事業の展開を相次いで開始しているが、BIC(V-Lowマルチメディア放送の事業全体を推進するための持株会社、エフエム東京が中心となり2014年1月に設立)のグループが開発する「V-Low対応SIMフリースマートフォン」を活用することで、無線での通信事業と放送事業に同時に参入し、ケーブルテレビサービスのさらなる進化と発展に寄与する考えという。

 この検討を進めるWGのリーダー社としては、ケーブルテレビ向けスマートTVサービスを展開するJ.COTT(代表取締役CEO:遠藤昌男氏、ジャパンケーブルキャストと東京ケーブルネットワークが共同で設立)に委任する。

 3月23日には、マルチメディア放送ビジネスフォーラムの第7期第2回情報交換部会が開催された。この日は、この新WGの発足のほかに、「国連世界防災会議 出展報告」「WGからコンテツプロバイダ新事業についての発表」「フォーラム来期の活動について」などの報告があった。また、事務局を務めるエフエム東京から、V-Lowマルチメディア放送の実用化に向けた想定スケジュールの報告があった。V-Lowマルチメディア放送の開設計画認定時に「航空無線航行システムは、混信などを防止するための措置内容を関係者と調整し、その了解を得た上での基幹放送局の免許申請を行うこと」と示された条件が示されている。この条件がクリアされる時期次第だが、エフエム東京としては、ソフト事業者の認定を経て、今年10月ごろ(CEATEC JAPAN 2015のころ)の開局を想定していると報告した。

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