写真●A10ネットワークスでマーケティング部部長兼エバンジェリストを務める高木真吾氏
写真●A10ネットワークスでマーケティング部部長兼エバンジェリストを務める高木真吾氏
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 A10ネットワークスは2015年3月18日、負荷分散装置「Thunder ADC」のOSソフトウエアを最新版の「ACOS 4.0」に刷新した。ACOS 4.0では、CLI(コマンドライン)で設定可能なすべての設定をWeb API(REST API)経由で設定できるようにした。これにより、OpenStackやCisco ACI環境などのクラウド運用基盤からThunder ADCを制御できるようになり、「クラウドレディになった」(マーケティング部部長兼エバンジェリストの高木真吾氏、写真)。

 現在、クラウド環境では、クラウド運用基盤ソフトやSDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)のコントローラーなどを使って、サーバー/ストレージやネットワーク機器の設定を動的に変更できるようになっている。このための前提として、これらの管理サーバーからネットワーク機器などを制御できるように、あらかじめ機器側にWeb APIなどのインタフェースを設けておく必要がある。

 こうした背景から同社は、負荷分散装置のOSを刷新した。具体的には、クラウド運用ソフトやSDNコントローラーから設定を変更できるように、CLIで設定可能なすべての設定をWeb APIで設定できるようにした。従来版のACOS 3.0では、全体の7割から8割程度しかWeb API化していなかったが、ACOS 4.0ではこれを100%に持っていった。

 これに合わせて、Cisco ACI環境(Nexus 9000シリーズなどで構成するSDN環境)からThunder ADCをWeb API経由で簡単に制御できるように、Cisco ACIの管理コントローラーソフトであるAPIC向けのプラグインソフトも用意した。Web APIの強化以外に、データセンター間をIPsec VPNでつなぐ機能や、SSL通信を検閲する機能、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)機能なども追加した。

 前提となるThunder ADCは、ハードウエア性能を追求した負荷分散装置である(関連記事:A10、DDoS対策ハードウエアをNAT装置や負荷分散装置に順次搭載)。レイヤー4以下のスイッチ処理を専用ASIC(特定用途向けIC)で実行し、それより上位の機能を汎用CPUのSMP(対称型マルチプロセッシング)構成で高速に実行する仕組みである。ハードウエア処理機構としては、スイッチ処理ASICやSSLアクセラレーターカードのほかに、DDoS対策機能をオフロードするための専用ハードウエアモジュールも用意している。