アドビ システムズは2015年3月18日、PDF編集ソフトの新製品「Adobe Acrobat DC」と、同ソフトと連携するクラウドサービス「Adobe Document Cloud」を同日から30日以内にリリースすると発表した。Document Cloudをハブとして、Acrobat DCを搭載するPCやモバイル端末間で文書ファイルを同期。どの端末からでも同じ操作感で文書編集ができる仕組みを提供する。

 Acrobat DCでは、UIを刷新(画面1、2)し、タッチ操作が可能な仕様に変更した。新機能として、スキャナーやカメラで取り込んだ紙資料のイメージを即座に補正し、編集可能なPDFに変換する「Documentマジック」などを追加した。

画面1●Acrobat Reader DCのUI
画面1●Acrobat Reader DCのUI
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画面2●Acrobat Pro DCのUI
画面2●Acrobat Pro DCのUI
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 また、PDFへの署名と承認を行う機能「e-Sign」(旧Adobe EchoSign)を、Document CloudとAcrobat DCへ統合し、Acrobat DCのすべてのサブスクリプションライセンス(年間契約の有償ライセンス)で利用可能にした。

 e-Sighでは、Document Cloudを介して、署名の依頼主と依頼先が文書をやりとりする。依頼主が、文書ファイルに署名欄を設定して依頼先を指定すると、Document Cloudへ文書ファイルがアップロードされ、依頼先にメール通知が飛ぶ。依頼先のメール受信者は、WebブラウザからDocument Cloud上の文書ファイルにアクセスし、署名を書き込むことが可能。依頼先の人の端末にAdobeのツールは不要だ。e-Sighが実装する新しい機能には、デジタルペンなどで署名の手書き入力ができる「入力と署名機能」、署名をあらかじめ登録しておくことができる「スマートオートフィル機能」がある。

 Acrobat DCは、無償版の「Acrobat Reader DC」(画面1)、有償版の「Acrobat Standard DC」「Acrobat Pro DC」(画面2)の3エディションで展開する。Acrobat Standard DCの永続版ライセンスは新規3万4800円/アップグレード1万8200円、年間契約のサブスクリプション版は月額1380円。Acrobat Pro DCでは、永続版ライセンスが新規5万4800円/アップグレード2万4200円、サブスクリプション版は月額1580円。Acrobat Reader DCおよびAcrobat Pro DCはWindows版とMac OS版を提供、Acrobat Standard DCはWindows版のみの提供となる。

 また、Document Cloudでは、個人や小規模ライセンスの利用企業向けの「Document Cloudサービス」、エンタープライズ大規模導入向けの「Document Cloud for enterprise」の2つをラインナップする。同社の佐分利ユージン代表取締役社長によれば、当面、Document Cloudは同社の米国データセンターからのみ提供するという。