米ドロップボックスは2015年3月17日、法人向けサービス「Dropbox for Business(ビジネス向けDropbox)」のコラボレーション機能を強化した。他ユーザーと共有しているOfficeファイルを編集する際に、自分以外にそのファイルを閲覧・編集しているユーザーの有無を確認できる機能「Dropbox バッジ」を公開した(写真1)ほか、Webアプリケーション上で共有ファイルにコメントを付けられる機能の試用を始めた。
業務用オンラインストレージサービスについては、OneDrive、Google Drive、Boxなど競合がひしめく。Dropbox for Businessの販売戦略について、ビジネス版とモバイル版の製品ヘッドを務めるイリヤ・フッシュマン氏に聞いた(写真2)。
Dropbox for Businessの現況は。
サービス開始から1年半で、既に世界で10万社が利用している。日本でのDropbox for Businessの導入企業数は公開していないが、日本には無償版、プロ版を含めて800万人のDropboxユーザーがおり、潜在力は高い。2014年10月には、(元シマンテック日本法人社長の)河村浩明氏をトップとする日本オフィスを開設し、法人営業に乗り出した。
Dropbox for Businessは、管理者によるアカウント管理、Active Directoryや外部SSO(シングルサインオン)基盤との連携、米スプランクとの提携によるログ監視、APIを通じたDLP(データ紛失防止)ツールとの連携といった機能を備える。多くの企業のセキュリティポリシーに適合できるはずだ。
今、Dropboxのユーザーデータはどこに保管しているのか。
全てのデータはAmazon Web Servicesの米国リージョンに保管している。これにより我々はITインフラへの投資を抑えながら事業を拡大できている。
各国のデータ保護法や政府からのデータ開示要求にはどう対応しているのか。
それは業界全体にとっての課題で、まだ明確な答えがあるわけではない。
クラウドの時代には「どの国にデータがあるか」よりも「預ける企業が信頼できるか」の方が重要だと考えている。我々は、透明性レポートやプライバシー保護などの取り組みでは、米電子フロンティア財団(EFF)で星6つの評価を得ている(EFFによる評価サイト)。我々は、(エドワード・スノーデン氏が明らかにした)米国家安全保障局(NSA)のプログラムには参加していない。
競合がひしめくオンラインストレージ業界でどう戦うか。
我々のビジネスモデルの基本は無償版をベースに、有償のプロシューマ版、ビジネス版を販売するフリーミアムモデルだが、ビジネス版はあらゆるチャネルを通じて企業に販売する。例えば、米デルとのチャネルプログラムは大きな成果を挙げている。
世界には既に約3億人のDropboxユーザーがいる。ビジネス版を導入する際も、社員を改めて教育を施す必要はない。これは大きな競争優位だと考えている。