写真●NEC、ビッグデータ戦略本部兼情報・ナレッジ研究所の本橋洋介氏(写真撮影:井上裕康)
写真●NEC、ビッグデータ戦略本部兼情報・ナレッジ研究所の本橋洋介氏(写真撮影:井上裕康)
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 「データを価値に変えるプロセスは三つある。価値に役立つデータを集める必要がある」――。NECのビッグデータ戦略本部兼情報・ナレッジ研究所に所属する本橋洋介氏(写真)は2015年3月17日、ITセミナー「データサイエンティスト・ジャパン2015」で講演した。データから価値を生むプロセスを説明したほか、インバリアント技術や異種混合学習などNECが持つデータ分析手法について解説した。

 本橋氏は冒頭、「これからの世界はデータが増え続ける」として、データから価値を生むことが大切であると説明した。データから価値を生むためのプロセスは三つあるという。(1)まず、センシング(実世界のデジタル化)によってデータを生成する。(2)次に、アナリティクス(分析・推論)によってデータを意味のある情報に変える。(3)最後に、アクチュエーション(制御・誘導)によって情報を価値に変える。

 例えば、天気予報のケースでは、センサーから天気図というデータが生まれる。分析によって、台風予測などができる。最終的に、避難勧告などの成果につながる。渋滞予報のケースでは、渋滞表示というデータが生まれ、分析によって特定の場所の渋滞予測ができる。最終的に、ルートを推薦するという成果につながる。

 企業内のケースにおいても、データを価値に変える三つのステップは変わらないという。例えば、補修用部品の需要予測のケースでは、まずは在庫コストを削減したいという需要がある。データとしては、稼働情報や使用実績などを利用する。データ分析の結果として、部品ごとの需要を予測する。最終的な成果として、在庫を2割削減するといった価値につなげる。

 こうしたプロセスが上手に働かない場合、その多くは、まず初めにデータを集めてしまっているケースが多いという。まずは目的を定め、目的のために役立つデータを集めなければ意味がない。こうした背景からNECでは、上手にデータを活用するためのワークショッププログラム「ビッグデータディスカバリープログラム」を提供しているという。