経済産業省は2015年3月16日、異業種間でのデータ共有や活用を目指す「データ駆動型(ドリブン)イノベーション創出戦略協議会」の第5回会合を開催した(写真1)。同協議会は経済産業省が2014年6月に設立し、200社以上の企業、機関が参加している。今回は、2014年の活動の総括と、2014年に実施された「ワークショップ」の報告、現状の課題と今後の方針についてパネルディスカッションを行った。

写真1●データ駆動型(ドリブン)イノベーション創出戦略協議会の第5回会合
写真1●データ駆動型(ドリブン)イノベーション創出戦略協議会の第5回会合
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 会合ではまず、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課長の佐野究一郎氏が2014年の振り返りとして、設立時の第1回から中間取りまとめをした第4回までを総括した。

 協議会では目的を「分野・組織の壁を越えたデータの利活用によるイノベーションの促進」と定めている。この目的に対しては、「データ保有する組織の課題」「データを利活用する組織の課題」「異なる組織をつなぐプラットフォーマーに関する課題」と三つの課題があり、対応策の柱を「事業者間の連携」「事業者と消費者の関係」「関連する法制度等の整備」「担い手の育成・発掘」「本協議会の在り方」の五つに定めて進めていくとしている。

 佐野氏は、消費者との信頼関係を築くことが重要であるとして、経済産業省が「消費者向けオンラインサービスにおける通知と同意・選択のためのガイドライン」を2014年10月に策定したことや、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)関連では、情報経済小委員会を2014年12月に立ち上げて異業種連携時の課題解決策を議論していることに言及。また今後は、個人情報保護法の改正で定められる、利用に本人の同意が不要な「匿名加工情報」の活用が期待できるとした。

 日本企業が抱える問題点として佐野氏は、「時代に応じた事業の選択と集中が進んでおらず新事業への大胆な投資などが難しい」「コスト削減のためのIT導入が中心で、米国と比べてビジネスモデル変革にITを導入する意識が低い」などを挙げ、「企業マインドの転換が必要」とした。データを活用した商品やサービスの創出のために、規制・制度に関する課題整理と対策の実施を進めること、成功事例を得ること、「プラットフォーマー」を育成することを次の展開として掲げた。