図1●分野別の光産業国内生産額の年度推移(出典:光産業技術振興協会)
図1●分野別の光産業国内生産額の年度推移(出典:光産業技術振興協会)
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図2●光産業国内生産増減額の分野別寄与度推移(出典:光産業技術振興協会)
図2●光産業国内生産増減額の分野別寄与度推移(出典:光産業技術振興協会)
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図3●光産業技術振興協会 専務理事の小谷泰久氏
図3●光産業技術振興協会 専務理事の小谷泰久氏
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 光産業技術振興協会(光協会)は2015年3月16日、2014年度の光産業動向調査の結果を発表した。同分野における国内生産額と全出荷額(日本企業の海外生産を含む)を発表しているのは、本調査のみである。例えば政府の関連機関が予算を策定するときなどに活用している。

 今回発表したのは、2013年度実績、2014年度見込み、2015年度予測(定性的評価)である。2014年10月に313社に対してアンケート調査票を送付。2014年12月から2015年2月にかけて113社から回答を得た。これはほぼ例年通りの回収率である。

 同調査は1980年から毎年実施しているもので、今回が35回目となる。今年度は光産業を「情報通信」「情報記録」「入出力」「ディスプレイ・固体照明」「太陽光発電」「レーザ加工・その他光加工装置」「センシング・計測」の7分野と「その他の光部品」に分類して調査した(図1)。

右肩下がりの推移に戻った情報通信分野

 情報通信分野の2014年度の国内生産額は対前年度比9.5%減の4607億円と見る。2013年度は同6.5%増と成長したものの、2014年度は2011年度から続く右肩下がりの推移に戻った。全出荷額も6.7%減の5315億円で、こちらも2013年度の同5.4%増からマイナスに転じた。

 同分野の項目では「光伝送機器・装置」が最大の市場で4割強を占める。国内市場が中心で、通信事業者の設備投資に大きく依存する。この光伝送機器・装置が2014年度見込みの国内生産額で同20.9%減と大幅なマイナス成長が見込まれている。光協会では、2013年度は100Gビット/秒のデジタルコヒーレント技術を採用した基幹系システムの導入が進み、一時的に増加したものの、2014年度はそれが一段落したと分析している。ただし、光伝送機器・装置の項目に含まれる光ファイバー増幅器のみ同38.9%増と大きく伸びる。これは光海底ケーブルやデータセンター、無線基地局の需要増が貢献していると見ている。

高成長を続けてきた太陽光発電分野が急ブレーキ

 他の分野では、これまでけん引役だった「太陽光発電分野」の成長に陰りが見えてきた(図2)。2014年度見込みの国内生産額は同1.9%増の3兆4068億円。伸びてはいるものの、2013年度の同71.4%増と比較すると、急ブレーキがかかった格好だ。同分野の項目では、太陽電池セルモジュールが22.8%減と大きく落ち込んだ。海外生産移転が進んだことによる。

 一方で、2013年度にV字回復した「ディスプレイ・固体照明分野」は2014年度も増加傾向にある。2014年度見込みの国内生産額は同4.2%増の2兆6693億円。光協会では、テレビの大画面化などに伴う単価の上昇、スマートフォン/タブレット端末向け高精細液晶パネル市場の拡大維持に加え、景気の好転感も寄与したと見る。

 光産業全体の2014年度は国内生産額が同1.5%増の8兆5916億円、全出荷額は同0.3%減の16兆8742億円と見込む。光産業技術振興協会 専務理事の小谷泰久氏は「太陽光発電分野の成長が鈍化し、入出力分野はデジタルカメラやカメラ付携帯電話の落ち込みが響いて減少する一方、ディスプレイ・固体照明分野が増加して、トータルでほぼ横ばいとなった」と全体を総括した(図3)。