写真●ヴイエムウェア ハイブリッド・クラウドサービス本部 CTO Ambassador/シニアクラウドスペシャリストの金子亨氏(写真:井上 裕康)
写真●ヴイエムウェア ハイブリッド・クラウドサービス本部 CTO Ambassador/シニアクラウドスペシャリストの金子亨氏(写真:井上 裕康)
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 「現状のITインフラは、パブリッククラウドとオンプレミスの環境があまりにもかけ離れており、企業はうまく使いこなすことができていない」。

 ヴイエムウェア ハイブリッド・クラウドサービス本部 CTO Ambassador/シニアクラウドスペシャリストの金子亨氏は2015年3月13日、「Cloud Days Tokyo/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security/IoT Japan」の講演で、企業が利用するITインフラの現状について語った(写真)。オンプレミス環境と複数のパブリッククラウドが「サイロ化」、つまり運用体制やネットワーク構成、セキュリティなどの面で分断されており、使い勝手の悪さやコストの高止まりにつながっているという。

 こうした分断を解消するために金子氏が勧めるのが、オンプレミスのプライベートクラウドとパブリッククラウドの環境を統一したハイブリッドクラウドの利用だ。

 ヴイエムウェアの製品やサービスでいえば、プライベートクラウドは仮想化環境「vSphere」を、パブリッククラウドは同社のIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)「vCloud Air」を使う構成があり得るという。vCloud Airは、国内では2014年11月にサービスが始まった。現在は1カ月単位でITインフラを貸し出しているが「今後は米国やイギリスでのサービス同様、1分単位でリソースを利用できるようにする計画だ」(金子氏)。

ハイブリッドクラウド、三つの活用法

 環境を統一したハイブリッドクラウドの現実的な活用方法について、金子氏は三つの例を挙げる。

 一つは、ハードウエアの保守切れに伴うパブリッククラウドへの移行だ。既存のプライベートクラウド環境をそのままパブリックに移行することで、ハードウエア運用に伴う手間や費用を削減できる。「企業が初期に仮想化した業務システムは、比較的(運用停止などに伴う)リスクが低いものが多い。こうしたシステムから、パブリックへの移行が進みそうだ」(金子氏)。

 もう一つは、開発・検証環境のオフロードである。プライベート環境とパブリック環境をそろえていれば、パブリッククラウド上で開発したシステムを、そのままオンプレミスの本番環境に移行して実運用できる。