アメリカ自由人権協会(ACLU)は現地時間2015年3月10日、オンライン百科事典「Wikipedia」を運営するWikimedia財団などとともに、米政府当局の大規模監視活動の停止を求め、米メリーランド州の連邦地方裁判所に米国家安全保障局(NSA)を提訴したと発表した。

 原告にはACLUとWikimedia財団のほか、Rutherford Institute、Amnesty International USA、Human Rights Watchなど人権擁護団体、米紙「The Nation」、全米刑事事件弁護士協会(NACDL)、米国ペンクラブなどが参加している。

 原告が問題としているのは、米国内にあるインターネットバックボーンを傍受するNSAの上流(upstream)監視活動。訴状によると、NSAは米大手通信会社の協力により、米国の国内および国際オンライン通信を支える基幹インフラに直接アクセスし、大量のトラフィックデータを傍受したという。

 原告は、NSAのこうした活動が、米国憲法で保障されているプライバシーの権利と表現の自由を侵害していると主張している。

 Wikimedia財団のLila Tretikov執行ディレクターは、「インターネットの根幹を流れるデータを傍受することによって、NSAは民主主義の根幹に損害を与えている」と述べている。

 ACLUによれば、NSAの監視活動を告発した元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden容疑者が暴露した文書の中には、Wikipediaをはじめとする複数の主要サイトがNSAの情報収集のターゲットにされていたことを示すものが含まれているという。

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