米Twitterが香港に営業所を開設したと、複数の海外メディア(FortuneThe Next WebCNET)が現地時間2015年3月10日に、香港の英字紙South China Morning Postの記事を引用して伝えた。香港営業所は大中華圏の拠点という位置付け。Twitterは国外進出を図る中国企業を対象に、広告販売を強化したい考えという。

 TwitterのサービスはFacebook同様に、中国本土で2009年から遮断されている。South China Morning Postによると、これは2011年に中東で起こった「アラブの春」のような反政府運動を中国当局が警戒しているため。GoogleのGmail、Google+ Hangoutsといったサービスも過去数年間断続的な遮断が続いていたが、昨年後半に完全に遮断されたという。

 そうした中、FacebookやGoogleは数年前から香港に営業所を開設しており、中国企業を対象にした広告販売に力を入れている。これらの広告は中国本土のユーザーが目にすることはないが、米国発ソーシャルメディアは、世界市場における認知度向上に役立つと見て、積極的に活用する中国企業が少なくないという。

 South China Morning Postによると、中国国営のCCTV(中国中央電視台)やXinhua(新華社通信)、共産党機関紙「People’s Daily(人民日報)」もTwitterにアカウントを持っており、国外ユーザーに向けて情報を発信したり、認知度向上キャンペーンを展開したりしているという。

 Twitterは香港営業所の人材として取引先担当責任者や、メディア業界との連携業務を行う責任者を募集している。このことは、Twitterがエンターテインメント業界に注目していることを示しているのではないかと、South China Morning Postは伝えている。

 なおTwitterの香港営業所開設の計画については、昨年米Wall Street Journalが伝えていた(関連記事:Twitterが香港に営業所開設へ、中国企業向け広告事業を拡大)。このときTwitterのアジア太平洋/米大陸/新興国市場担当バイスプレジデントのShailesh Rao氏は、Alibaba Group(阿里巴巴)や、Huawei Technologies(華為技術)、Lenovo Group(聯想集団)、Xiaomi(小米科技)といった中国企業の世界進出が、当社の広告事業の追い風になると述べていた。