NTTデータは2015年3月10日、金融機関や企業が電子的にマイナンバーの本人確認と収集ができる「番号収集代行サービス」の実証実験を行った(写真1、2)。金融機関の顧客や一般企業の従業員がスマートフォンなどを利用する。NTTデータはマイナンバー制度が始まる2015年10月に実用化し、価格は「郵送による収集業務の半分以下」という。

写真1●NTTデータ「番号収集代行サービス」の実証実験
写真1●NTTデータ「番号収集代行サービス」の実証実験
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写真2●スマートフォンのカメラで仮想マイナンバーと本人確認書類を読み取り
写真2●スマートフォンのカメラで仮想マイナンバーと本人確認書類を読み取り
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 実証実験では、NTTデータ社員がモニターとなって、スマートフォンで利用できるアプリで仮想のマイナンバーを収集した(写真3)。番号収集代行サービスでは、金融機関の顧客や一般企業の従業員がアプリをインストールして設定されたIDとパスワードを入力すると、光学的に文字を読み取るOCR機能やNFC機能を使って、法令で定められた本人確認の要件を満たす書類データを読み取る。

写真3●データ突合が終了した画面表示例
写真3●データ突合が終了した画面表示例
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 読み取ったデータはNTTデータのデータセンターに送られ、データを突合して番号と身元確認を行う。NTTデータに番号収集代行を委託した金融機関や企業は、セキュリティの高いネットワークを通じて、営業時間外などでも人手を介さずにマイナンバーの本人確認や収集できる。

 金融機関などがあらかじめ用意した本人確認データと突合する方法でもマイナンバーの収集をする。顧客らが本人確認の書類を郵送する方法と組み合わせる、金融機関が店頭に置いているタブレット端末と連携して番号を収集する、などの方法も提供するという。

 NTTデータによると、現行法の下で金融機関が集めなければならない番号は約7000万件に上る。金融機関による法定調書への付番は3年間の経過措置が設けられているが、1日当たり約9万5000件の処理が必要になる計算だ。従業員の番号や、銀行などの預貯金口座への付番による任意収集が重なると、1日当たり約20万件に近づくという。

 NTTデータは将来的に、金融機関が印鑑で行っている本人確認業務が個人番号カードに置き換わっていく可能性もあると見込む。また、マイナンバー制度で利用が始まる法人番号を使った企業情報サービスも検討中という。