写真●パーキンソン病研究のアプリ「mPower」
写真●パーキンソン病研究のアプリ「mPower」
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 米Appleは現地時間2015年3月9日、米サンフランシスコで開催した特別イベントで、医学・医療研究用のiPhoneアプリを開発するためのオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を4月に公開すると発表した。これにより、iPhoneを利用している患者の活動や症状、健康状態を測定・調査するアプリの開発が可能になる。

 Appleによると、iPhoneは現在世界で数億台が利用されている。世界中の多種多様な人に協力してもらい、これまでとは比較にならない規模のデータを集めることができれば、医師や科学者の研究に役立ち、医学の進歩に貢献できるとしている。

 Appleはすでに複数の医学・医療機関と協力しており、同日米国でiPhone向けアプリを公開した。そのうちの1つは米国の生物工学研究所Sage Bionetworksと米ロチェスター大学が共同開発した「mPower」(写真)と呼ぶパーキンソン病研究のアプリ。これは、記憶ゲームや、指のタッピング運動テスト、発話テスト、歩行テストなどを通じて患者から身体活動のデータを収集する。こうしたデータをほかの参加患者のものと組み合わせることで、パーキンソン病の調査は、世界最大かつ最も包括的なものになるとしている。

 これらのアプリはiPhoneに組み込まれている各種センサーからのデータを用いるほか、医療・健康管理のソフトウエアフレームワーク「HealthKit」のデータも用いる。例えばサードパーティーの機器やアプリで測定された体重、血圧、血糖値などのデータを活用できる。ただし、データの収集はユーザーの同意のもと行われる。米メディア(Computerworld)の報道によると、Appleがこれらのデータを見ることはなく、ユーザーはどの研究に参加するか、データがどのように共有されるかを自分の意思で選択できる。

 Appleは、ほかの医学・医療機関とも協力しており、すでにぜんそく、乳がん、心血管疾患、糖尿病の研究調査用アプリも開発している。Appleはこれらのアプリを米国のApp Storeで同日公開した。今後ほかの国でも提供を開始する予定という。これらのアプリは、iPhone 5、iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plusと、iPod touchの現行モデルに対応する。

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