写真●大和ハウス工業 執行役員情報システム部長の加藤恭滋氏
写真●大和ハウス工業 執行役員情報システム部長の加藤恭滋氏
写真:北森 幸
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 「8年にわたるフルクラウド化の取り組みで最も感じたのは、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)の大切さ。ここを軽視すると運用の手間は思うように減らない」。2015年3月6日、大阪で開催中の「Cloud Days Osaka/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security/IoT Japan 2015」のKEYNOTEを務めた大和ハウス工業 執行役員情報システム部長の加藤恭滋氏(写真)はこう強調した。

「正月もお盆も運用」の状況を問題視

 加藤氏は「大和ハウス工業のフルクラウド化の軌跡とタブレットを活用したワークスタイルの変革」というタイトルで、同社におけるITインフラのクラウド化と、インフラを生かしたモバイル活用の状況を紹介した。

 同社がクラウドへの取り組みを始めたのは2008年。データ保管用共有サーバーのプライベートクラウド化にはじまり、SAPジャパンのERP(統合基幹業務システム)パッケージを利用した会計システム、全社員が利用する業務推進システム、CADデータなどを管理するものづくりシステム、といった社内システムを順次クラウド環境に移行。内部統制関連システムを2014年末にハイブリッドクラウド化したことで、8年にわたるフルクラウドへの取り組みを完了した。

 そもそもクラウドの検討を始めたのは2006年にさかのぼる。きっかけはサーバーのサポート切れだった。「ハードをリプレースしないと、機械が故障しても責任を持てないと、ベンダーから“脅し文句”を受けた」(加藤氏)。

 その際、従来通りに単純にハードを交換するのは得策でないと同社は考えた。「インフラは刷新したら4~5年は使う。その間に問題なく稼働するようにしたかった。しかし、単純なハード交換では、利用しているうちにリソース不足となり、応答速度が落ちるといった事態が起こり得る」(同)。