写真1●スキャリティ・ジャパン代表取締役の江尾浩昌氏
写真1●スキャリティ・ジャパン代表取締役の江尾浩昌氏
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 分散型ストレージソフト「Scality RING」の開発会社である米Scality(スキャリティ)は2015年3月5日、同日付けで日本法人の「スキャリティ・ジャパン」(東京都港区)を設立した。6人体制でスタートする。日本法人の代表取締役には、米Fusion-ioや米Isilon Systemsなど米系ストレージ企業の要職を歴任した江尾浩昌氏(写真)が就任。今後は、パートナーの拡大などによって、メール格納用途とは異なる分野に事業を広げる。販売目標として、今後3年間は前年比2倍の売り上げを目指す。

 スキャリティ・ジャパンが取り扱うScality RINGとは、ソフトウエアで実現したスケールアウト型のオブジェクトストレージである(関連記事:中小企業が自社でストレージを購入することはなくなる)。サーバー台数を増やすだけで、ストレージ容量を拡張できる。分散KVS(キーバリューストア)型のソフトであり、ハッシュリング方式でデータを分散格納する。すべてのサーバーが対等であり、SPOF(単一障害点)は無い。データの可用性を確保するため、コピーを3台のノードに保存する。オブジェクトアクセス(HTTP)に加えて、同一のファイルに対してNAS(CIFS/NFS)としてもアクセスできる。

 Scality RINGは、メールサーバーのメール格納用に開発を始めた経緯があるが、グローバルではメール以外の汎用的な使い方へと適用領域を拡大済み。一方で日本は、グローバルの売り上げの15%を占めており、2014年は前年比で500%の成長を達成したものの、依然としてメールの格納用途が売り上げの多くを占める。スキャリティ・ジャパンは、パートナーとの協調などにより、メール分野だけでなく他の分野での事業規模を拡大する意向。まずはデータのアーカイブ領域とコンテンツ配信の領域に進出し、用途の領域を拡大する。

 パートナーは、メール分野が日本オープンウェーブシステムズ、Zimbra Japan、TwoFiveの3社。これに加えて今後は、ストレージハードウエアを手がける日本ヒューレット・パッカードと日本シーゲイトが、Scality RING搭載ストレージを国内投入する(グローバルでは投入済み)。さらに日本独自の施策として、Scality RINGの販売契約を交わしたシステムベンダーを増やす。この第一号のシステムベンダーが、クラウド事業を手がけるブロードバンドタワーである。

 市場性について代表取締役の江尾氏は、「非構造化データにはスケールアウト型のストレージが向く」と強調する。データ量が200Tバイトを超える企業はScality RINGによってストレージコストを低減可能で、特にペタバイト級のデータを持つ企業ではコスト削減効果が顕著である、と説明する。