写真1●ヤンマー 執行役員 経営企画ユニット ビジネスシステム部 部長の矢島孝應氏
写真1●ヤンマー 執行役員 経営企画ユニット ビジネスシステム部 部長の矢島孝應氏
写真:北森 幸
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 「当社に対してはいまだに“ヤン坊マー坊(同社が提供した天気予報番組のキャラクター)”の親しみやすいイメージを持つ人が多く、高い技術力を備えた会社であるという実際の姿と異なる。次の100年に向けた再スタートをITで支えていく」。

 2015年3月5日、大阪で開催中の「Cloud Days Osaka/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット/Security/IoT Japan 2015」のKEYNOTEに登壇したヤンマーで執行役員 経営企画ユニット ビジネスシステム部 部長を務める矢島孝應氏(写真1)はこう語り、IoT(Internet of Things)/M2M分野を中心に同社の取り組みを紹介した。

技術力が知られていないのは存在しないのと同じ

 矢島氏の講演タイトルは「Solutioneeringで次なる100年を拓く」。Solutioneeringとは「技術力」と「サービス」、顧客の希望を先回りしてかなえる「ホスピタリティー」の三つを掛け合わせた造語で、ヤンマーは次の100年に向けた新たなキーワードとして掲げている。

 ヤンマーが創業したのは1912年(明治45年・大正元年)。2012年に創業100周年を迎えた同社は、2013年に「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」を開始。クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏ら3人の著名クリエイターとともに、Solutioneeringを具現化するためのブランドや新たな製品のデザインを進めた。「デザインの力で変えていこう、をコンセプトとした」(矢島氏)。

 このときに佐藤氏が問題視したのが、ヤンマーに対する一般的なイメージだった。「ヤンマーのソリューションの力が、世の中に伝わっていない。これでは存在していないのと同じだ、と佐藤氏に指摘された」と矢島氏は説明する。

 ディーゼルエンジンを世界で初めて実用化したヤンマーは、今でも高いエンジン技術を持つ。ヨット用エンジンのシェアは、北米では90%に達するという。総売上の4割は海外からで、農業機械以外も多い。こうした実態が知られていない点を佐藤氏は問題視した。