「Hadoop」のディストリビューション(検証済みパッケージ)を販売する米ホートンワークスの日本法人が本格的な営業活動を開始した。日本法人名もホートンワークスで、同社は2015年3月5日、日本での初期顧客としてヤフーがHadoopディストリビューション「Hortonworks Data Platform(HDP)」を採用したと発表した。

 ホートンワークスは2011年に、Hadoopの開発を始めた米ヤフーからスピンアウト(独立)して設立された。2014年12月にNASDAQに上場している。同社は、HDPを大規模に導入する顧客がある国や地域から優先的に海外拠点を設ける方針で、アジアでは日本よりも先に韓国に拠点を設けている。同社の顧客には韓国サムスン電子が名を連ねている。

 ホートンワークス米本社のハーブ・クーニッツ社長は日経コンピュータとのインタビューで、同社の業績が好調に推移していると強調した。「上場後初の四半期決算となった2014年10~12月期だけで99社の新規顧客を獲得し、顧客数は332社になった。2014年通年の売上高は1億2500万ドルで、我々はオープンソースソフトウエア(OSS)専業のベンダーとして、米レッドハットに次ぐ規模になった」(クーニッツ社長)。

Hadoopのカーネルを作る

 同社は2015年2月に、米GEや米IBM、米Pivotal、米SAS、インドのインフォシスなどと共同で「Open Data Platform(ODP)」という業界団体を設立している。クーニッツ社長は「ODPは、Hadoopの“共通カーネル”を開発することを目的にした団体だ」と説明する。

 現在、Apacheソフトウエアファウンデーション(ASF)には、Hadoop本体を開発するプロジェクトだけでなく、様々な周辺ツールを開発するプロジェクトが存在している。周辺ツールの中には、機能が重なるものも少なくない。ODPでは、Hadoop本体と、リソーススケジューラーである「YARN」、運用管理ツールである「Ambari」の三つをHadoopの“カーネル”と位置づけ、各社のディストリビューションでこの三つを共通に利用するよう呼びかける。

 Hadoop用SQLクエリーエンジンなど、ベンダー間での競合が激しい分野については共通化しない。「ODPの目的は、カーネルの共通化することで検証やテストの手間を省くことであり、競争を排除するつもりはない。ODPに参加するPivotalやIBMも、SQLエンジンやストリーミングエンジンで競争し、製品を磨き合っている」。クーニッツ社長はそう説明している。