写真●スペインのバルセロナで開催されている「Mobile World Congress」の基調講演に登壇した米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)
写真●スペインのバルセロナで開催されている「Mobile World Congress」の基調講演に登壇した米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)
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 2015年3月2日から5日までスペイン・バルセロナで開催されている「Mobile World Congress 2015」。初日最後の基調講演には米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が登壇した(写真)。なぜインターネット普及活動に力を注ぐのか、フェイスブックの事業は通信事業者と競合しないのかといった多岐にわたる議論が交わされた。

 フェイスブックは今から約1年半前の2013年8月、全世界にインターネット環境を整備することを目的とした団体「Internet.org」を発足させた。新興国を中心にインターネット普及活動を展開している。2014年に開催されたMWCでもザッカーバーグ氏は登壇して同団体のプログラムを紹介した。その結果、「アフリカやインド、コロンビアなど6カ国で我々のプログラムを展開できた」とザッカーバーグ氏は語った。

 「我々は通信事業者のように人とインターネットをつなげるわけではない。だが、人と人をつなげている。インターネットを世界中に普及させるのは並大抵なことではない。だからこそ協業パートナーなしでは実現できない」

 こう述べたザッカーバーグ氏だが、フェイスブックはメッセンジャーアプリ「Whatsapp(ワッツアップ)」を傘下に収め、テキストメッセージや無料音声通話機能を提供している。通話やSMS(ショート・メッセージ・サービス)で収益を上げてきた通信事業者に対して微妙な立ち位置にいる。

 ザッカーバーグ氏は講演の中で、「人々はインターネット通信を使いたいのではない。サービスを使いたいのだ」とし、「フェイスブックはこのサービスを使いたい人を増やせる。それは結果的に通信事業者のデータ通信利用者を増やすことにつながる。通信事業者のビジネスモデルは進化しなければならない」と持論を展開した。

 「インターネット普及の話になるとすぐにメディアは衛星通信など“セクシー”な話題を取り上げるが、実はほとんどの人がインターネットが利用できる環境にいる」とザッカーバーグ氏は語った。その上で「インターネットにつながっていない人がデータ通信を使うようになるためには、単純になぜインターネットにつながる必要があるのかという基本的な問いかけが必要だ」とした。だからこそ通信事業者と組み、フェイスブックを含めた基本的なサービスを提供するという活動を広げているという。