スカパーJSATは2015年3月4日、海外で放送している日本コンテンツを24時間、現地の言葉で届けるチャンネルの「WAKUWAKU JAPAN」の事業拡大のため、新会社の「WAKUWAKU JAPAN」を設立することを決定したと発表した。

 新会社のWAKUWAKU JAPANは、スカパーJSATの100%子会社として設立する。設立日は2015年5月1日付を予定する。その後、簡易吸収分割方式により、新会社がスカパーJSATより「WAKUWAKU JAPAN」事業を継承する。

 新会社は2015年7月1日付で第三者割当増資を実施し、スカパーJSATと、新たに海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が引き受ける。第三者割当増資の引き受けにより、スカパーJSATおよびクールジャパン機構は合計110億円を出資する。出資比率はスカパーJSATが60%、クールジャパン機構が40%となる。

 クールジャパン機構とスカパーJSATが共同出資することで大規模な資金の先行投下が可能となるとしている。事業規模の拡大および事業展開の加速化を進め、日本の魅力を世界各国により早く、より広く届けることを目指す。

 同日の新会社設立説明会でスカパーJSAT 代表取締役 執行役員社長の高田真治氏は、「WAKUWAKU JAPANの事業をよりスピードアップして大きく拡大するためには我々だけでは力足らずというところもあるので、クールジャパン機構の出資もいただいて、一緒に事業を進めていこうということになった」と新会社設立の経緯を説明した。

 さらに「WAKUWAKU JAPANは単なるコンテンツビジネスというわけではない。国が進めているクールジャパンやビジット・ジャパンなどといった国の政策の推進の一助にもなると考えている」「この共同事業展開によって全国の放送事業者やコンテンツホルダーのみならず、国の関係機関や地方自治体、国内の様々な会社との連携を深めたい。文字通りオールジャパンでこの事業のスピードを上げて、早く収益化を実現したいと考えている」と述べた。

 取締役 執行役員専務の田中晃氏は、現在インドネシアとミャンマーの2カ国で放送中のWAKUWAKU JAPANの今後の展開について、「まずはシンガポール、タイ、マレーシアなどのASEANを中心に広げていきたい」と説明した。その後は、「オーストラリアや米国といった英語圏に広げていき、ヨーロッパについても日本のコンテンツに関心が高いフランス、英国、ロシアなどに展開したい」とした。2020年度までに22カ国に進出し、視聴可能世帯数を合計4100万世帯にまで増やすことを目指す。

 説明終了後の質疑応答では、例えばWAKUWAKU JAPANの収入内訳のイメージについて、「黒字化を目指している2020年度については、視聴料収入が全体の65%程度、広告収入が35%程度になると見込んでいる。この二つの収入に放送外収入が上乗せされるというイメージ」(田中氏)と述べた。

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