登壇したBrian Krzanich氏
登壇したBrian Krzanich氏
手に持つのは、Atom x7/Atom x5を内蔵したタブレット端末。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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Atom x3ベースの端末の開発が進んでいる
Atom x3ベースの端末の開発が進んでいる
日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはIntelのスライド。
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 米Intel社は、「MWC(Mobile World Congress) 2015」(スペイン・バルセロナで3月2日~6日に開催)で報道機関向け発表会を開催し、モバイル機器向けの最新チップなどについて発表した(日本語版ニュースリリース)。登壇したのは、同社CEOのBrian Krzanich氏である。

 Krzanich氏は、「Intelはモバイルワールドのために、チップだけではなく、ソフトウエアやセキュリティー技術を含めて一貫したソリューションを提供する」と冒頭に述べた。これは規定路線だが、MWC 2015での発表で目を引いたのは、スマートフォンに代表されるモバイル機器のICに、Intelはようやく本腰を入れたことだ。

 今回、モバイル機器向けSoCとして、「Atom x7」、「Atom x5」、「Atom x3」を発表した。このうち、Atom x7とAtom x5は、開発コード名が「Cherry Trail」だったSoCで、Atom x7の方が性能が高い。Atom x7より高い性能が欲しい場合には「Core M Processor」を選ぶことになる。「Atom x7とAtom x5は14nm FinFETで製造する最初のAtomになる」(同氏)とした。

 しかし、(筆者の)目を引いたのは、Atom x3である(開発コード名は「SoFIA」)。Atom x3は3製品あり、いずれも、モデムを内蔵し、GPUは英ARM社のMaliを搭載する。台湾MediaTek社や米Qualcomm社が提供する中国市場向けのローエンドスマートフォンを意識した製品だ。これまでIntelの姿勢は「PCで実績のあるx86を安価にするので、それをスマホにも使ってね」という感じだった。それが競合と同じようなスペックの製品を、今回、初めて投入した。リファレンス設計も提供し、中国や台湾などの20社以上がAtom x3ベースにした端末の開発を進めているという。

 Atom x3の3製品のうち、ローエンドの品種は、1GHz動作の64ビットコアを2つ、それにMali 400 MP2と3G対応モデムなどを集積する。ミッドレンジの品種は1.2GHz動作の64ビットコアを4つ、Mali 450 MP4、3G対応モデムを載せる。ハイエンドの品種は1.4GHzの64ビットコアを4つ、Mali T720 MP2、LTE/3G対応モデムを集積する。

 なお、Atom x7とAtom x5は、モデムは外付して使う。Intelは、今回のMWCで、新しいモデムチップ「XMM 7360」を発表している。XMM 7360はLTE-Advancedに対応し、下りの最高速度は450Mビット/秒とする。

 このほか、Krzanich氏は、モバイル体験を豊かにする技術として「REAL SENSE」や無線給電技術を紹介した。同氏はREAL SENSEが搭載された、米Dell社の2-in1 PCの「Dell Venue 10」を壇上で使ってみせた。また、Intelのセキュリティー技術が韓国Samsung Electronics社の最新スマホ「Galaxy S6」と「Galaxy S6 Edge」(日経テクノロジーオンラン関連記事)に採用されたことや、IntelのICを使ってSDN(software defined network)のネットワーク装置を仏Alcatel Lucent社が開発したことなども発表した。