Kiss Connectivityでつないでいるところ。
Kiss Connectivityでつないでいるところ。
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真ん中がKiss Connectivity用のIC。ドッキングステーション用のコネクターと比較している。
真ん中がKiss Connectivity用のIC。ドッキングステーション用のコネクターと比較している。
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Snapを使ってスマートフォンとステーションが通信しているところ
Snapを使ってスマートフォンとステーションが通信しているところ
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Snapでは双方向合計で約11Gビット/秒を達成していた
Snapでは双方向合計で約11Gビット/秒を達成していた
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 コネクターの代わりに60GHz帯を使った無線通信を使い、数Gビット/秒でピア・ツー・ピアの超高速の非接触通信をする。「Mobile World Congress 2015」(スペイン・バルセロナ、2015年3月2~5日)では、そんな技術提案がスタートアップ企業2社からあった。米Keyssa社と、米Silicon Image社傘下のSiBEAM社である。

 いずれもスマートフォンやタブレット端末を狙ったもので、マルチメディアキオスク端末からのコンテンツのダウンロードや、ドッキングステーションとのコネクターをなくす用途を提案していた。「コネクターをワイヤレス化することで、防水や防塵も容易になる」(SiBEAM社)という。

  Keyssa社が披露したのが「Kiss Connectivity」という技術。MWCの本会場ではなく、MWC 2015開幕の前日となる3月1日にバルセロナ市内で開催された新技術披露会「MobileFocus Global」で見せた。片方向で最大6Gビット/秒の通信が可能である。無線リンクを確保するプロトコルは独自で、その上にUSB3.0、PCI Expressなど様々なプロトコルを通すことを想定している。送信用と受信用の2つのチップがあり、各機器にこの2チップを搭載して、これを対向して使う形になる。この技術を搭載した製品は、2015年前半に登場する見込みという。

 一方、SiBEAM社は同様の技術である「Snap」をMWC2015の会場で披露した。通信速度は双方向合計で12Gビット/秒。USB2.0、USB3.0、HDMI、Display Portなどメーカーの要望に応じて様々なインターフェースに対応できるという。Snapに対応した最初ICとなる「SB6212/SB6213」では、USB2.0/3.0およびI2のインターフェースを持つ。

 同ICでは送受信の回路およびアンテナを1つのパッケージに封入しているという。2015年4月にサンプル出荷を開始する予定である。既に、スマートフォンメーカーやタブレット端末をキーボードにドッキングさせてPCとして使える「2-in-1」パソコンメーカーなどと採用に向けた話し合いをしているという。

 高速の非接触通信であるTransferJetも次世代版として、60GHzを使った仕様を策定中である。スマートフォンにUSBコネクターを備える代わりに、60GHzの近距離無線機を搭載する。そんな機器が今後増えていく可能性がある。