日本オラクルは2015年3月3日、同社のオンプレミス型の業務アプリケーションを利用している顧客企業向けに、クラウドサービスの利用を促進する施策「Oracle Customer 2 Cloud」を発表した。Oracle Customer 2 Cloudは顧客企業がオンプレミス型の業務アプリケーションに対して支払ったライセンス費用を、クラウドサービスを利用する際に充当できるというもの。

 対象となるオンプレミス型の業務アプリケーションはERP(統合基幹業務システム)パッケージの「Oracle E-Business Suite(EBS)」「PeopleSoft」「JD Edwards EnterpriseOne」「JD Edwards World」と、CRM(顧客関係管理)ソフトの「Siebel CRM」、経営管理支援ソフトの「Oracle Hyperion」だ。

 これらの製品の保守契約を結んでいることが、Oracle Customer 2 Cloudを利用できる条件となる。また新たにSaaSの契約を結ぶ際には、「3年以上の利用期間で契約を結ぶ」「充当するライセンス費用以上の金額になるボリュームでSaaSを利用する」といった条件が必要になる。

 顧客企業はOracle Customer 2 Cloudを利用すると、購入したものの余っているライセンス費用を、日本オラクルが提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を利用する際の料金に充てられる。「バックオフィスの人員効率化で不要になっていたり、導入時に購入し過ぎたりするなどして、ライセンスを余分に持っている企業は案外多い。こうした企業を狙っていきたい」とクラウドアプリケーション事業統括事業開発部の野田由佳部長は話す。

 ライセンスの充当対象となるSaaSは、各社が既に導入しているアプリケーションの領域となる。Oracle EBSの会計モジュールを導入している場合はSaaS「Oracle ERP Cloud」の会計機能を、PeopleSoftの人事モジュールを導入している場合は人事SaaSの「Oracle HCM Cloud」ができる、といった具合だ。

 ただし、オンプレミスで人事管理機能を利用している企業が、SaaSとして提供されているタレントマネジメント機能を利用するなど、「同じ分野であれば、オンプレミスで利用していない機能を導入することも可能」(野田部長)という。

 今回のOracle Customer 2 Cloudは、日本オラクルが推進するクラウドサービス導入促進策の一環だ。アプリケーション事業統括の多田直哉執行役員は、「日本オラクルとしては基本的に顧客企業にクラウドサービスの導入を推し進めていきたい。ただし強制するのではなく、『いつでもクラウドに移行できる』というオプションを用意しておくことで顧客企業を支援していきたい」と話す。