ポータブルSIMアプリの画面。このアプリを通じて相手にSIMカードを貸したり、相手からSIMカードを借りたりできる。
ポータブルSIMアプリの画面。このアプリを通じて相手にSIMカードを貸したり、相手からSIMカードを借りたりできる。
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NTTドコモとQualcomm社との役割分担
NTTドコモとQualcomm社との役割分担
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 スマートフォンをカーナビにタッチすると、SIMカードを挿していないカーナビにスマートフォンのSIMカードを貸し出せる--。NTTドコモは、そんなアプリケーションソフトウエア「ポータブルSIMアプリ」を開発し、「Mobile World Congress 2015」で展示した。ドコモが米Qualcomm Technologies社に協力して開発した、ポータブルSIMアプリと連携してSIMを制御するソフトウエアと組み合わせることにより、Qualcomm社のチップセットを搭載したAndroidスマートフォンや車載機器などでこのアプリを使うことができる。冒頭のようなシナリオ以外にも、例えば、スマートフォンを、SIMカードが挿入されていないタブレット端末にタッチして、移動通信ネットワークに接続できるようにするなどの使い方が考えられる。

 Qualcomm社が開発したソフトウエアは、同社が2015年夏に提供する携帯機器・小型の通信機器向けのチップセットに搭載される予定。このチップセットには、電話番号を貸し出す親機側の機能だけではなく、これを受信する子機側の機能も搭載しているため、Qualcomm社のチップセットを機器に搭載することで、親機や子機を容易に開発でき、多様な対応機器が今後提供されることが期待されるという。

 今回の機能は、2014年6月にドコモが開発を発表したカード型の小型認証デバイス「ポータブルSIM」として発表済み。同等の機能をスマートフォンで実現したのが今回の新しい点である。SIMカードは個人の認証に使えるため、スマートフォンで加入している音楽配信サービスの音楽再生リストや地図サービスの目的地情報などを、そのままカーナビに引き継ぐことも可能だという。

 今回のシステムの仕組みは、本来は有線で接続されている本体とSIMカードの間を、Bluetoothの接続を介して仮想的につなぐというもの。Bluetoothのペアリング(デバイス間の接続)の設定はNFCのタッチで交換する。こうした仕組みであるため、SIMカードを貸す側と借りる側はBluetoothの接続の範囲内に入っている必要がある。