米Googleが、米国でモバイル通信サービスを開始する計画であることを認めた。同社Android、Chrome、Apps担当上級バイスプレジデントのSundar Pichai氏が、スペインのバルセロナで開催されているモバイル業界最大の展示会「Mobile World Congress 2015」で、現地時間2015年3月2日に明言したと、複数の米メディア(TechCrunchComputerworld)が報じている。

 Googleは自身で携帯電話ネットワークを構築するのではなく、大手キャリアのネットワークを利用する。同社のMVNO(仮想移動体通信事業者)事業参入計画は以前から噂され、IT系ニュースサイト「The Information」は、Googleが米Verizon Wirelessと協議したと昨年4月に報じ、今年1月にはドイツDeutsche Telekomの米国子会社T-Mobileおよび米Sprintと提携するなどと伝えていた(関連記事:GoogleがMVNO事業参入か、年内サービス開始との情報)。

 Pichai氏は、「我々は大規模なネットワーク事業者になるつもりはなく、実際、複数のキャリアと協力して計画を進めている。携帯電話ネットワークとWi-Fiネットワークをどのように組み合わせ、スムーズに切り替えて利用できるようにするかを考えている」と説明し、「数カ月以内に詳細を発表する」と述べた。ただし、キャリアパートナーの名前は明かさなかった。

 Pichai氏によると、新サービスは小規模なもので、「キャリアが導入可能な技術革新を実証することが目的」だという。

 米New York Timesが関係者から得た情報では、Googleは高速接続サービス「Google Fiber」で敷設済みの光ファイバーネットワークを使ってWi-Fiサービスを提供することを考えており、Google Fiber対象地域以外では、T-MobileやSprintの携帯電話ネットワークを借りる。

 参入時点で小規模でも、創造性と資金が豊富なGoogleの動きは、長年米AT&T、Verizon、Sprint、T-Mobileが支配してきた業界にさざ波を立てることになりそうだと、米Wall Street Journalは指摘している。しかし、Androidスマートフォンの普及はキャリアの協力に頼るところも大きいため、Googleは慎重に物事を進める必要があるとの意見もある。