NTT東西の光回線を仕入れて自社ブランドで提供できる「サービス卸」を巡って、早くも消費者トラブルが明らかになった。総務省は2015年2月27日、サービス卸を使った光回線サービスに不適切な販売勧誘方法が認められたとして、U-NEXTと光通信グループのHi-Bitの2社に対し行政指導したと発表した。

 NTT東西は、フレッツ光の利用者がサービス卸型の光回線を申し込む場合に、同じ回線をそのまま使うことから、工事が不要で簡単な手続きで乗り換えられる「転用」という仕組みを用意した。不適切な販売は、この転用を促す電話勧誘で行われていた。

 例えば、不十分もしくは誤解を招く説明だったために、利用者が転用を申し込んだ自覚がない、もしくはサービス提供者がNTT東西からU-NEXTやHi-Bitになることを利用者が理解していないという勧誘方法があった。強引な勧誘で転用が行われた例もあったという。具体的には、利用者がサービスの乗り換えと理解しておらず、「割安な料金プランへの移行だと誤解するような勧誘方法などがあった」(総務省消費者行政課)。

 NTT東西が禁じている、Webや電話での「転用手続きの代行」が行われた例も総務省は確認した。転用手続きは、Webの場合なら利用者が自ら専用ホームページにアクセスして手続きする。転用の条件などを確認・承諾した上で、「契約者名」「利用住所」「お客さまIDか、ひかり電話番号」など個人情報を入力して、手続きをさらに進める上で必要になる「転用承諾番号」を受け取る。問題となった勧誘方法では、転用承諾番号を受け取る手続きを、販売スタッフが利用客の情報を聞き出して代行していた。

 消費者からの苦情が、総務省の電気通信消費者相談センターや全国の消費生活センターなどに寄せられたことから問題が明らかになった。NTT東西にも苦情が来ており、NTT東西が個々の勧誘について2社に対して調査を求めている。苦情の集計や調査は途中段階だが、U-NEXTは指摘があった28件のうち17件の契約をキャンセル扱いに、Hi-Bitは44件のうち27件の契約をキャンセル扱いにしたという。

 総務省は2社に対し、利用者の意思を確認することや、電気通信事業法が定めるサービスの説明義務を果たすこと、転用承諾番号を利用者以外が取得しないことなどを、代理店も含めて徹底するよう改善を要求。不適切な販売勧誘が確認された代理店には、罰則など契約に基づく措置を取るよう求めた。2社は、行政指導を受けた具体的な改善措置や、今後3か月間の販売勧誘の状況などを報告する必要がある。