米連邦通信委員会(FCC)は現地時間2015年2月26日、「インターネットの中立性」に関する新たな規則の導入を承認した。新規則では、消費者向けブロードバンドサービスを電気通信法(Telecommunications Act)の「Title II」に分類する。

 Title IIは公益通信サービスを対象としており、ブロードバンド接続事業者にはより厳しい規制が適用されることになる。これまでブロードバンド事業者は規制の緩い「Title I」(情報サービス)に分類されていた。

 新規則は、ブロードバンド事業者が特定のコンテンツ、アプリケーション、サービス、デバイスへのアクセスを遮断することや、特定のコンテンツ、アプリケーション、サービス、デバイスのトラフィックを減速させることを禁じている。また、追加料金を受け取って優先的に高速配信する、いわゆる「ファストレーン」を提供してはならないとしている。

 インターネットの中立性に関する規則改定を巡っては、昨年5月にFCCがファストレーンを容認する内容の規則制定提案告示(NPRM:Notice of Proposed Rulemaking)を公示し、多数の米国インターネット関連企業が強く抗議した(関連記事:GoogleやFacebookなど米企業団体、ネット中立性の改定案に意見書)。Barack Obama米大統領は昨年11月、中立性を保護する強力な規則作りを促す声明を発表し、Title IIに再分類することを勧めていた(関連記事:オバマ米大統領、ネット中立性の規則改定に関してFCCに圧力)。

 FCCが今回実施した新規則承認の投票は、賛成がTom Wheeler委員長、Mignon Clyburn委員、Jessica Rosenworcel委員の3票、反対がAjit Pai委員とMichael O'Rielly委員の2票だった。

 新規則は、数週間以内にFCCのWebサイトに掲載され、米連邦官報で公表後60日で施行される。

 米メディア(米Wall Street Journal)は、通信事業者やケーブル事業者など反対派は米国議会と裁判所で争う構えだと報じている。

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